第11回NPT再検討会議への出席のため代表団が米国・ニューヨーク市を訪問しました。

2026年4~5月

平和首長会議は、米国・ニューヨーク市で開催された第11回NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議へ、松井まつい一實かずみ会長(広島市長)、鈴木すずき史朗しろう副会長(長崎市長)、香川かがわ剛廣たけひろ事務総長を含む代表団を派遣し、国連・各国政府関係者等に対して、スピーチや個別の面会を通じて、核兵器のない平和な世界を願うヒロシマの心を伝え、具体的な核軍縮の進展を要請しました。

また、平和首長会議主催のサイドイベントとして、専門家の方々を交えて、NPTの重要性について議論しました。

さらには、広島県内で平和活動に取り組む高校生及び大学生を「平和首長会議ユース(以下、ユースという。)」として派遣し、平和首長会議主催ユースフォーラムの開催等を通じて、次代の平和活動を担う青少年の育成を図りました。

第11回NPT再検討会議 NGOセッションでのスピーチ(5月1日)

松井会長は今世界で多くの武力紛争が続き、核兵器使用のリスクは極限まで高まっている状況の下で、市民は、際限のない不安を抱えながら日々を送っていると訴え、NPT体制の重要性を再確認し、停滞する核軍縮を各国が誠実に進めるよう求めました。また、被爆者の平和への願いを原点に始まった平和首長会議は、市民社会とともに対話と連帯を広げ、草の根レベルでの取組を強化することを宣言し、各国政府代表に対して、核抑止に依存しない真の平和の実現を願う市民社会の声を受け止め、対話による外交努力を通じて核軍縮・不拡散を誠実に前進させることを願っていると訴えました。続けて鈴木副会長は、「過去の苦しみなど忘れ去られつつあるようにみえます。私はその忘却を恐れます。忘却が新しい原爆肯定へと流れていくことを恐れます」という被爆者の言葉を引用し、核戦争に突入しかねない今の危機的状況に警鐘を鳴らした上で、戦争被爆地の代表として、「核核兵器は絶対悪であり、核兵器廃絶こそが、地球上のいのちを未来へつないでいくため 人類に残された唯一の道」であることを訴えました。そして最後に「長崎を最後の戦争被爆地に」というメッセージで、スピーチを締めくくりました。

NGOセッションでの松井会長と鈴木副会長

第11回NPT再検討会議NGOセッションでのスピーチ
会長スピーチ:英語原文日本語訳  副会長スピーチ:英語原文日本語訳

各国政府代表等との面会

核保有国代表(4月29日~5月1日)

核保有国であるロシア、英国、米国及びフランスの政府代表者に面会し、核兵器国が当事者となる紛争の拡大は、核兵器使用のリスクを極めて高めるものとして深刻に懸念されることを訴えました。また、各国の立場や核軍縮へのアプローチ等について意見交換を行い、この度のNPT再検討会議に先立ち、長崎市と連名で、米、英、仏、露、中の5か国に対し発出した、NPT体制の堅持を求める要請文を提示しながら、NPT体制を堅持するための確固たる決意を示すことが不可欠であることを強調し、平和首長会議として、核保有国に対する市民社会の思いをしっかりと伝えました。

ベロウソフ ロシア連邦
外務省特命大使(左)
ライリー軍縮会議
英国政府常駐代表(左)
ラザル=スリ軍縮会議
フランス政府常駐代表(中央)
ザドロズニー米国国務省
軍備管理・不拡散局
核不拡散担当上級顧問(中央)

日本政府代表(4月28日)

市川軍縮会議日本政府常駐代表と面会し、同席したユース代表が、これまで取り組んできた平和活動について報告しました。その後、ユースから市川大使に対し、異なる立場や価値観を有する国々との対話のあり方やこれから自分たちに何ができるのか等について質問し、市川大使からは、対話と相互理解を重ね、共通点を見出すことの重要性や、日本の役割として、広島・長崎の被爆の実相を国際社会に発信していく重要性について改めて共有され、平和活動に取り組むユースにとって大変貴重な学びとなりました。

市川軍縮会議日本政府常駐代表
(後ろ左から2番目)

国連関係者等

グテーレス国連事務総長との面会(4月28日)

グテーレス国連事務総長は、昨年面会したときのやり取りを踏まえ、「平和首長会議には現在のNPT体制の後退を打ち破り、自治体の立場から国際的な平和活動を推進してほしい。」と述べられました。松井会長から、平和活動を推進するためには、世界中の若者に被爆の実相を知ってもらうことが重要であり、世界の各都市で平和学習ができるよう支援をしてもらいたいと求めたところ、EUとの自治体組織との連携も視野に入れた若い世代への支援に協力したいとの発言をいただきました。

グテーレス国連事務総長(中央)

中満国連事務次長兼軍縮担当上級代表への署名の手交及び面会(4月30日)

ユース代表から中満国連事務次長に、約3万4千筆分の「『核兵器禁止条約』の早期締結を求める署名」の目録を手交しました。ユースから平和活動に向けての強い決意表明がなされるとともに、中満国連事務次長からは、核軍縮は安全保障と密接に関わる課題であり、幅広い知識と理解が重要であること、そして異なる立場との対話を重ねることの重要性が示されました。また、視野を広く興味を持って色々なことを吸収し、これからも平和のために考え、声を上げて行動していただきたいと激励の言葉がありました。

中満国連事務次長(中央奥)

ヴィエット第11回NPT再検討会議議長との面会(4月30日)

ヴィエット議長は、今回のNPT再検討会議が極めて困難な状況下で開催されていることを強調しつつも、各国が自らの主張を押し通せば、解決を見出すことは不可能であるが、全ての国が、等しい程度の不満を受け入れるのであれば合意は可能であるとの見通しを示しました。松井会長は、第11回NPT再検討会議議長としての調整力とリーダーシップに敬意を表するとともに、NPTの枠組みを活かして粘り強く交渉を続け、最終合意に向けて尽力していただくよう要請しました。

ヴィエット議長(中央)

主催行事等

平和首長会議ユースフォーラムの開催(4月28日)

サイドイベントとしてユースフォーラムを開催し、ユース4組を含む10組の若者が、自らの平和活動を通して感じた平和への思いを会場の聴衆に熱心に語り掛け、核兵器のない平和な世界の実現に向けた思いを、それぞれの視点で訴えました。満席となった会場では、若者の発表後に、聴講者と登壇者の間で活発な意見交換が行われたほか、登壇者からユースに対し、励ましの言葉も寄せられました。

フォーラムの様子

平和首長会議主催イベント「Taking Stock of the NPT : Achievements, Persistent Challenges, and Emerging Opportunities」の開催(4月29日)

新たな試みとして、国連軍縮研究所(UNIDIR)との共催により開催されたサイドイベントでは、NPTの三本柱(核不拡散・平和利用・核軍縮)について、専門家が各領域の詳細な分析を発表した後、参加したNGO関係者やユース等とともに、将来の方向性や解決策について議論を行いました。質疑応答の後、NPT体制が大きな圧力に直面している現状と、それでもなお維持・強化が不可欠であることを強調して締めくくられました。今回のサイドイベントの実施は、今後、UNIDIRとの関係強化を図っていくための絶好の機会となりました。

サイドイベントの様子

こどもたちによる“平和なまち”絵画展、VRゴーグル体験(4月27日~5月1日)

同会議の会期中、国連本部において、広島・長崎の被爆の実相や核兵器の非人道性、平和首長会議の取組について理解を深めてもらうため、こどもたちによる“平和なまち”絵画展及びVRゴーグル体験を開催しました。4月27日には、国光外務副大臣が展示を視察し、松井会長及び鈴木副会長から平和首長会議の取組及び展示内容の説明を行いました。国光副大臣は実際にVRゴーグルを体験され、「被爆の実相を一人でも多くの方に伝え、NPTの合意形成及び核兵器のない世界の実現に向け、引き続き発信に努めていきたい。」と述べられました。また、他の体験者からも「映像があることでより理解することができた。」「是非いろいろな場所で提供していただきたい。」といった反響がありました。

絵画展の様子
VRゴーグル体験の様子

その他の出席行事

日本被団協主催、広島市及び長崎市共催の国連原爆展オープニングセレモニーへの出席(4月27日)

日本被団協の団体設立70周年の節目に、被爆者の体験と二度と誰にも同じ苦しみを味わってほしくないという願いを共有することを目的として、国連で5回目となる原爆展が開催されました。松井市長は、開会挨拶の中で、日本被団協が2024年にノーベル平和賞受賞後も厳しい世界情勢が続く中、NPT再検討会議の場で原爆展を開催することは非常に意義深いことであると強調し、NPT再検討会議参加者の多くの方が、被爆の実相を心に刻み、議論を深めてほしいと訴えました。会場では、原爆投下後の広島、長崎の惨禍を伝える写真パネルや被爆資料を写真に撮る人や、その説明を熱心に読む来場者の姿が見られました。

セレモニーの様子

国連国際学校(UNIS)訪問(4月30日)

UNIS訪問では、鈴木長崎市長から被爆の実相について説明、続いて松井市長から主に平和首長会議の取組についてスライド使って説明し、広島・長崎を訪問して、直接被爆の実相に触れ、核兵器と平和について考えてほしいと生徒に訴えかけました。ユース代表からは、平和活動の取組などについて紹介され、若者による平和の発信や対話の重要性が提起されました。

講演の様子

国連軍縮部、ポスターハウス(美術館)及び日本政府共催レセプション(4月30日)

レセプションには、山﨑国連大使、中満国連事務次長の出席の下、ユースのほか、平和首長会議主催ユースフォーラムで発表を行った若者や、ニューヨークで平和や核軍縮を学ぶ学生・大学関係者やNGO関係者等、約100人が招待されました。山﨑国連大使、中満国連事務次長による開会挨拶後、前半は「核軍縮を進める上でのアートや創造的表現が持つ力の探求」をテーマにアーティストらによるパネルディスカッションが行われ、後半は歓談の時間となり、ユースも他の学生と意見交換を行うなど同世代で親睦を深めました。

レセプションの様子
平和首長会議