第13回平和首長会議理事会の開催に合わせて、英国を訪問しました

2024年10月

平和首長会議の副会長都市である英国・マンチェスター市において、第13回平和首長会議理事会を開催しました。

松井会長(広島市長)を始め役員都市関係者が出席し、PXビジョン及び行動計画(2021年-2025年)に基づくこれまでの取組状況を総括するとともに、次期行動計画や令和7年に長崎市で開催予定の第11回平和首長会議総会の運営方針等について審議しました。

10月27日(日)

ピース・トレイル・ツアーへの参加

平和首長会議理事会参加者約20名を対象としたピース・トレイル・ツアーに参加しました。通常はセルフガイド式のウォーキングツアーですが、今回はマンチェスター市担当者の案内により、戦没者慰霊碑、平和を求めるデモ活動で命を落とした人々を慰霊するモニュメント、広島の被爆イチョウの二世が育つピースガーデン等を巡りました。

被爆イチョウ二世

10月28日(月)

在マンチェスター名誉領事主催朝食レセプションへの出席

理事会出席者やマンチェスター市長とともに、名誉領事主催の朝食レセプションに参加しました。松井会長は、相手と争うことなく対話によって平和な世界を築くということを今回の理事会で議論したいと挨拶しました。懇談の時間では、直前のアイルランド訪問について、ポスター展を実施することで若い人に興味をもってもらえたこと等を報告しました。

レセプション後の集合写真

Glade of Light及びマンチェスター大聖堂訪問

2017年に起きたマンチェスター・アリーナの爆破テロ事件の犠牲者22名を追悼する記念碑Glade of Lightでの追悼式に参加しました。マンチェスター市長による「Let there be peace(平和が訪れますように)」の詩の朗読があり、マンチェスター大聖堂司祭が犠牲者の氏名を読み上げ、全員で1分間黙とうを捧げました。追悼式終了後、Glade of Lightの隣に位置するマンチェスター大聖堂を視察しました。

マンチェスター大聖堂

第13回平和首長会議理事会(1日目)への出席

10月28日(月)から2日間にわたり、マンチェスター市庁舎で第13回平和首長会議理事会を開催し、9都市・1支部の役員都市の代表者及び(公財)広島平和文化センター専門委員3名が出席しました。

開会

松井会長は開会挨拶で、混迷を極める世界情勢の中にあって、市民の安心・安全な生活を守る使命を担う自治体の首長で構成する組織として、各国の為政者の行動変容を促すための「平和文化」を市民社会に広めていかなければならないと出席者に呼び掛けました。また、出席者の自己紹介と理事会の日程の確認を行いました。

会議1 行動計画(2021年-2025年)の取組状況について

現行の行動計画(2021年-2025年)の取組状況について、PXビジョンに掲げる3つの目標の達成に向けた取組が着実に行われていること、特に「平和文化の振興」について、市民の平和意識を醸成する取組が各都市で活発に行われており、引き続き平和首長会議として注力することを確認しました。 また、役員都市を代表して、ハノーバー市がドイツ国内での加盟拡大や支部会議、加盟都市が一斉に旗を掲げるフラッグデーなど同国内の加盟都市の連帯強化の取組などについて、エヴォラ市が同市が実施する主に青少年向けの平和文化の振興に関する取組について、それぞれ発表しました。

会議の様子

会議2 次期行動計画の取組について

次期行動計画(2025年―2029年)において、地域ごとにリーダー都市が中心となって、地域内の各都市が具立的な取組を実施できるよう、事務局及びリーダー都市が中心となった体制づくり実施プロセスを事務局から示しました。松井会長は、理想を共有しながらそれぞれできる範囲でできることを実施するというのが平和首長会議の基本だという方向性を示しました。次に、事務局より、次期行動計画においては、Cの目標である「平和文化の振興」に係る被爆や戦禍の実相の発信・共有及び次代の平和活動を担う青少年の育成を重点的な取組と位置付けたいと考えていることを説明しました。

会議3 被爆80周年の取組について

長崎市より、来年8月に長崎市で開催予定の第11回平和首長会議総会について説明があり、役員都市からは広島・長崎両市を訪問できる機会の検討や、加盟都市に対する総会の招待方法について提案がありました。その他の事項については、事務局から青少年平和と交流支援事業の再開や原爆ポスター展の開催等について説明を行い、了承を得ました。

平和首長会議の運営に係る意見交換

平和首長会議が今後も、継続的かつ安定的に活動を行っていくために、財政基盤に関する事項について意見交換を行いました。メンバーシップ納付金や寄付金については役員都市や専門委員から様々な意見があり、引き続き検討を行っていくこととしました。

原爆被害等を疑似体験できるVRゴーグルの体験

会議の空き時間などを利用して、理事会出席者に原爆被害等を疑似体験できるVRゴーグルを体験してもらいました。原爆投下時の悲惨さや現在の広島の状況を疑似体験できるもので、国内の自治体等へは既に貸出しを開始していますが、今回初めて海外において体験できる機会を設けました。 体験者からは、本などで読むよりもリアルな体験ができる、若者にも被爆の実相をより正確に伝えやすいのではないか、といった感想がありました。

VRゴーグル体験の様子

広島市・長崎市・マンチェスター市主催夕食会

マンチェスター大学に附属するマンチェスター博物館で夕食会を開催し、理事会出席者や在マンチェスター名誉領事などの関係者が出席し、親睦を深めました。同博物館の平和の展示では、原爆で溶けたガラス片や鶴の剥製と共に平和の象徴である千羽鶴が常設で飾られていますが、この度、平和記念資料館提供の「サダコと折り鶴ポスター」も期間限定で展示されました。

夕食会

10月29日(火)

ヨーロッパ支部会議への出席

平和首長会議の地域支部であるヨーロッパ支部の会議が行われ、来年の被爆80周年における各都市の取組計画やヨーロッパ支部として実施する事業について、議論を行いました。松井会長は会議の冒頭で、ロシアによるウクライナ侵攻後、ヨーロッパで新たに200都市が平和首長会議に加盟したことに触れ、平和首長会議の活動を世界に広げていくために重要な拠点となっており、引き続き、地域特性を生かした自主的な活動を活性化し、世界の平和構築のために事務局とも連帯した取組を進めてほしいと期待を述べました。

シンプソン グレーター・マンチェスター合同行政機構CEOとの面会

松井会長は、広島市が広島広域都市圏を形成して平和と経済活動を融合して盛り上げようとしていることを伝え、グレーター・マンチェスターでも同様の取組が展開されるよう期待を伝えました。CEOは平和首長会議の試みを称賛するとともに、マンチェスターは過去の歴史から多くを学んだ誇り高い都市であり、苦難から復興した都市として、広島と今後も長期的な関係を築いていきたいと述べました。 また、CEOが交通局最高責任者であることから、広島市地域公共交通計画や、マンチェスター市における被爆80周年のイベント時の公共交通機関のサポート体制について、意見交換しました。

シンプソンCEO(中央)

第13回平和首長会議理事会(2日目)への出席

会議4 会議の総括

前日の議論で役員都市から様々な意見や問題提起があったことを踏まえた上で、今回の理事会を取りまとめる総括文書について審議し、採択を行いました。

第13回平和首長会議理事会総括文書

閉会

鈴木長崎市長は閉会挨拶で、開催都市であるマンチェスター市及び出席者に対して謝意を伝えるとともに、来年長崎市で開催予定の第11回総会への意気込みを伝えました。最後に出席者全員で記念撮影を行い、理事会は終了しました。

集合写真

英国・アイルランド支部会議への出席

マンチェスター市議会議員、英国の加盟都市、広島・長崎と交流のある学生、平和関係団体等の総勢約50名が参加し、英国・アイルランド支部会議が開催されました。松井会長からは、平和首長会議の活動内容についてプレゼンテーションを行い、今回のアイルランド訪問についても報告しました。質疑応答では、平和首長会議の役割や活動に対する質問に対し、松井会長は、国家が疑心暗鬼に陥っている中、世界中の平和を愛する人々の思いを結集して、国境を越えて核兵器のない理想の世界を目指すという平和首長会議の方針等を説明しました。

英国・アイルランド支部会議

Mines Advisory Group本部訪問

理事会出席者等とともに、地雷や不発弾の除去活動を行う同団体を訪問しました。同団体職員ブラウン氏は、地雷が無差別に人命を狙う危険な兵器であり、同団体の活動により多くの人命が救われていることについて説明されました。また、この10年間で予算が3,800万ドルから1億2,400万ドルへ、従事者数が2,158人から6,000人超へと同団体の活動は拡大し続けており、戦争が終わった後も、その脅威に対する処理は続いていくとのことでした。

ブラウン氏(左)