松井一實会長(広島市長)及び香川剛廣事務総長は、第13回平和首長会議理事会出席の機会を捉えて、核兵器禁止条約推進国であるアイルランドを訪問し、アイルランド議会上院でのスピーチや大統領、大臣、上下院議長等との面会等を行い、核兵器のない平和な世界を願うヒロシマの心を伝え、平和首長会議の取組に対する理解と協力を呼び掛けました。
10月23日(水)
丸山駐アイルランド日本国特命全権大使との面会
松井会長は、この度の出張に当たり、アイルランド議会上院でのスピーチや大統領を始めとする政府要人との面会、原爆ポスター展の開催等で多大な支援を大使館よりいただいたことへの謝意を伝えました。丸山大使は、アイルランドの企業活動と日本の日常生活との関連性が深まっていること、120社以上の日本企業がアイルランドに進出していることなど、二国間の良好な関係を説明されるとともに、JETプログラムを通じて広がる同国の日本語教育について紹介されました。
Sandymount Park Educate Together 中等教育学校訪問
平和記念資料館提供の「サダコと折り鶴ポスター」を展示する同校をダブリン市長と共に視察し、校長及び約15人の生徒と交流しました。ポスターは、誰もが目にできるよう校舎に入ってすぐの階段に展示され、また、生徒との交流の場となった教室は、8月6日をテーマとした作品や折り鶴が飾られていました。松井会長は「こんな思いをほかの誰にもさせてはならない」という被爆者の願いを紹介し、誰が悪いということではなく、対話を通じて問題解決をしていくことの大切さを若者へ訴えました。
バティマー上院議長との面会
バティマー上院議長は、日本は戦争を経験したが、怒りやいがみ合うことではなく和解を選んだ国であり、その日本から、アイルランドは多くのことを学んでいると述べました。松井会長は、日本は過去に戦争をし、原爆を落とされたが、それを乗り越え和解しており、苦難の歴史を乗り越えて和解をしたアイルランドとは、そのような共通体験を基にこれからも協力していけるのではないかとの期待を伝えました。
アイルランド議会上院でのスピーチ
スピーチでは、アイルランドのノーベル文学賞受賞者シェイマス・ヒーニーの作品の一節を引用し、どんな困難に直面しようとも希望を持ち続けることが重要であるとした上で、被爆者の八幡照子さんの被爆体験証言や、日本被団協のノーベル平和賞受賞に触れ、世界の安全保障情勢が悪化している中で、核兵器廃絶のためには今こそ市民レベルの平和の連帯の強化が必要であると述べました。
また、豊かな文化を有するアイルランドの方々は世界で平和文化を先導することができるとして、多くのアイルランドの都市が平和首長会議に加盟していただきたいと述べました。
ヒロシマ・ナガサキ原爆写真ポスター展オープニングセレモニー出席/ブランチャーズタウン図書館
図書館関係者、地元の上院議員、地元の中等教育学校であるクールマイン・コミュニティ・スクールの教員・生徒等、約30人が参加した原爆写真ポスター展のオープニングセレモニーに出席しました。松井会長は、平和や核兵器廃絶について若者にどう伝えているのかという地元生徒からの質問に、広島では小中学校で佐々木禎子さんの話などにより平和学習を行っていること、他県からは修学旅行で広島を訪れてもらい平和について学んでいること等を紹介しました。
10月24日(木)
マックネイルEU問題担当国務大臣(首相府/外務省)兼国務大臣(国防省)との面会
マックネイル大臣は、日本被団協のノーベル平和賞受賞に触れ、全ての国の安全保障を考える上で意義深い受賞であると見解を示されました。松井会長は、広島市作成の冊子「平和文化の振興」を用いて、「こんな思いをほかの誰にもさせてはならない」という被爆者の思いを貫くことが大切だと述べました。
また、翌日の平和首長会議加盟セレモニーにおいて、アイルランドの複数の都市が新たに加盟する見込みであることを伝えると、大臣からは、松井会長の平和に対するリーダーシップは素晴らしく、その取組を全面的に支援したいと述べられました。
オファイール下院議長主催昼食会への出席
オファイール下院議長は、冒頭の挨拶で、昨年2月の広島訪問にて被爆者の方々の魂を感じて感動したと述べられるとともに、ウクライナへの侵攻や中東での紛争が続く中、私達は平和について考える時期に来ていると述べました。松井会長は、被爆者の方々はつらい過去を乗り越えて今も頑張っており、憎しみ合うのではなく未来志向で考えていくべきであり、その点で広島とアイルランドは共鳴できると述べるとともに、理想を大事にして今後も努力を続けていきたいと挨拶を締めました。
その後も和やかな雰囲気で昼食会が行われ、平和に関することや日本とアイルランドの関係などについて意見交換を行いました。
10月25日(金)
ジョーガン ダブリン市長との面会
それぞれの都市の優先事項や課題について意見を交わし、松井会長からは、ハード面では公共交通機関の共同運営システム導入や広島駅の再開発の取組を、ソフト面では町内会の発展のため、新しいコミュニティシステム(ひろしまLMO(エルモ))の取組を説明しました。ジョーガン市長からは、ダブリン市(人口約146万人)では渋滞解消のため、バス専用道路の設定や市電の更なる発達に取り組んでいること、課題として住宅不足や治安問題を抱えていることなどを説明され、お互いに大都市の市長として意見交換を行いました。
平和首長会議加盟セレモニーへの出席
冒頭、オファイール下院議長より挨拶があり、昨年の広島訪問で聴いた被爆体験講話が大きな教訓となり、二度と核兵器が使われてはならないと痛感したと述べられました。松井会長は、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う「ヒロシマの心」を共有する輪に、今回新たにアイルランドの16都市が加盟されることへの謝意を伝え、市民社会に平和文化を根付かせていこうと呼び掛けました。 加盟セレモニーでは、新規加盟都市が順に署名を行いました。
ヒギンズ アイルランド共和国大統領との面会
ヒギンズ大統領は、世界各地で紛争が発生し、多くの女性やこどもが犠牲になっている現状を憂うと同時に、平和首長会議の活動について、都市間の関係構築が重要であるとの見識を示されました。松井会長から、今市民が何を望み、何を必要としているかを国に伝えていくこと、戦いは間違った行動であると若い人たちに教育することを重視していると伝えると、ヒギンズ大統領は、市民が持っている良心に訴えて教育をすること以上に重要なことはないと述べられました。