会長がロシアを訪問し、ゴルバチョフ元大統領らに平和市長会議への理解と協力を要請しました。

2010年9月

 広島市の姉妹都市であり平和市長会議副会長都市でもあるボルゴグラード市を訪問し、同市の創設記念日である「ボルゴグラード市の日」記念行事に出席し交流を深めるとともに、近隣市の代表とも面会し、平和市長会議への加盟などロシアでの核兵器のない世界に向けた活動について協力を訴えました。
 また、首都モスクワ市を訪問し、モスクワ市長やゴルバチョフ元大統領、国会議員等に面会し、2020年までの核兵器廃絶に向けた協力を要請しました。

9月4日(土)

スターリングラード攻防戦パノラマ博物館で行われた、市民の顕著な功績を称える「ボルゴグラード賞」の授賞式に合わせ、秋葉市長に特別名誉メダルが贈呈されました。秋葉市長は、感謝の意を述べるとともに、「今後も協力して核兵器のない平和な世界の実現に向けて協力していこう。」と呼びかけ、集まった聴衆から大きな拍手を受けました。

引き続き、同会場でボルゴグラード州内の都市であるコテルニコボ市、ミハエロブカ市、フロローボ市の代表と面会しました。平和市長会議未加盟である3市は、地域のすべての自治体を加盟させたいなど熱心に語り、秋葉市長は、今後の協力を約束するとともに、日本の市民団体や全米市長会議の活動を紹介しました。また、フロローボ市はこの日のために平和市長会議の加盟申請書を持参して下さいました。

その後、市内ママエフの丘に移動し、戦争の犠牲者に追悼の意を表しました。

午後からスターリングラード攻防戦パノラマ博物館に戻り講演を行いました。秋葉市長は、全米市長会議に代表されるアメリカの都市の平和への活動を紹介し、オバマ大統領のプラハ演説以降、核のない世界に向けた気運が世界的に高まっていることや、2020年までの核兵器廃絶を目指す平和市長会議の2020ビジョンキャンペーン、7月末に広島で開催した「2020核廃絶広島会議」等について説明し、特に、核兵器禁止条約等を通じた核兵器の廃絶が国際社会の最優先事項であり、それを成すのはまさに今であると訴えました。さらに、7月の会議で提唱した、国家レベルの核軍縮会議を来年広島で開催することを提案しました。最後に、核兵器廃絶を祝うため、2020年に広島でオリンピックを開催することを検討していることを紹介し、ボルゴグラード市民とともに2020年に「この日を迎えることができてよかった」と言えるよう頑張ろう、と締めくくると、会場から大きな拍手と賛同の声が起こりました。

9月5日(日)

ボルゴグラード市のローマン・グレベニコフ市長と市庁舎で面会し、これまでの協力関係や平和市長会議副会長としての貢献、今回特別名誉メダルを頂いたこと等に感謝するとともに、ロシア国内での平和市長会議加盟都市増加のため、ロシアの自治体や自治体関係団体に働き掛けてもらうよう要請しました。また、ビジネスパートナーとして、両市の今後の協力の新たな可能性を検討したい旨を伝え、広島を訪問されるよう要請しました。グレベニコフ市長は、秋葉市長の両市の関係深化に対する努力に感謝の意を示され、同市が加盟している5つの自治体関係団体を活用してできる限り協力することを約束しました。

その後、イリーナ・カレワ市議会議長の案内で議場を視察し、両市の市政等について意見交換を行いました。秋葉市長はカレワ議長に対し、両市の議員が意見やアイデアを交換する機会を持つことを提案しました。

夕刻には、「ボルゴグラード市の日」を祝うグレベニコフ市長主催のレセプションに出席し、秋葉市長は来賓として、集まった賓客に挨拶のスピーチを行いました。

9月6日(月)

ボルゴグラード市の隣にあるボルゴグラード州第二の都市、ボルシスキー市を訪問し、マリナ・アファナシエワ市長と面会しました。秋葉市長は本年4月に同市が平和市長会議に加盟して下さったことに感謝し、2020年までの核兵器廃絶に向けて共に努力することを呼び掛けました。アファナシエワ市長は、同市では平和委員会を設けて平和のために努力しており、平和市長会議を通じて国際的な活動にも参画し、戦争の惨禍を経験した都市として将来のために努力したいと述べ、今後の協力を約束しました。

午後にはボルゴグラード市内で行われたワールド・ハーモニー・ランの出発式に出席し、平和のためにロシア各地から集まったランナーを激励しました。

9月7日(火)

ロシア連邦議会国家院(下院)内務・自治委員会委員長で地方自治体協議会の会長も務めているベジストラフ・ティムチェンコ議員と面会しました。秋葉市長は、ニカラグアで大臣の呼び掛けにより国内全自治体が平和市長会議に加盟することになった事例を紹介し、ロシアでの協力を要請しました。ティムチェンコ議員は、平和市長会議の2020ビジョンは様々な面でロシアの軍縮の取組と共通していると述べ、ロシアでの平和市長会議加盟促進のため議員の名前でロシア中の自治体に書簡を送ることや、自治体が参加するフォーラムで呼び掛けることなど協力を約束しました。

その後モスクワ市役所でユーリ・ルシコフ市長に面会しました。ルシコフ市長はまず、「広島の被害は、核兵器を使ってはならないことが絶対のルールだという世界への訴えになった」と述べ、秋葉市長が、平和市長会議の加盟促進について協力を依頼したところ、ルシコフ市長は、ロシアの「国際市長連盟」や、同市長が会長を務め多くの自治体が加盟している日ロ関係発展のための社会団体「ロシア21世紀委員会」の中でも平和市長会議加盟を呼び掛けることを約束しました。また、秋葉市長が、ロシアの都市が全米市長会議と協力することを提案し、そのための仲介を申し出ると、ルシコフ市長はこれを歓迎し、さらに、2020広島オリンピックの実現可能性を検討していることを紹介すると、「モスクワが手を挙げることにならない限り応援する」と賛意を表しました。加えて、ビジネス面での協力の可能性についても意見交換を行ないました。

9月8日(水)

モスクワ市内にあるゴルバチョフ財団でミハエル・ゴルバチョフ元大統領と面会しました。秋葉市長は11月に広島市で開催されるノーベル平和賞受賞者世界サミットのため、ゴルバチョフ氏がぜひ10年ぶりに広島に来て下さるよう要請し、同氏は、広島訪問を快諾するとともに、サミットでは被爆者の平和への貢献に何らかの形で感謝したいと述べました。
 面会後、ゴルバチョフ氏の生い立ちから今までの写真や所持品などを展示した、財団の資料館を視察したほか、ノーベル平和賞受賞者世界サミット事務局職員と広島でのサミットについての協議を行ないました。

9月9日(木)

モスクワ郊外の「国立ロシア心臓学・科学・生産コンプレックス」でエフゲニー・チャゾフ総院長と面会しました。チャゾフ博士は高名な心臓病学者であり、1980年、米国ハーバード大学教授バーナード・ラウン博士らとともにIPPNW(核戦争防止国際医師会議)を設立し、共同代表を務めた創始者です。(IPPNWは1985年にノーベル平和賞を受賞)また、チャゾフ博士は、当時のゴルバチョフ大統領に直接、核実験停止の延長を進言するなど、平和活動で世界に広く知られています。秋葉市長は、チャゾフ博士のこれまでの活動に感謝を示し、医師が集まって平和活動を行なったIPPNWのモデルに習って、市長たちは平和市長会議を組織していると述べたほか、可能であれば11月のノーベル平和賞受賞者世界サミットにも出席して下さるよう要請しました。チャゾフ博士は、ソ連崩壊後、平和活動が沈静化していると警告し、インド、パキスタン、イスラエルなど、アジア地域が危険であるとの認識を示しました。また、広島でのサミットについてもスケジュールの都合がつくか検討する、と述べました。