アルゼンチンのブエノスアイレス市及びマルデルプラタ市を訪問し、「ラテンアメリカ自治体週間」の関係行事に出席し、平和市長会議と2020ビジョンキャンペーンへの理解と協力を求め、中南米地域における平和市長会議への加盟を促進しました。
あわせて、アルゼンチンの首相や外相に面会し、2020年までの核兵器廃絶に向け、理解と協力を求めたほか、現地の平和NGOとの連携を強化しました。
また、公正で平和な世界の実現のため高校生の交換留学を中心に異文化交流の場を提供している非営利の民間国際教育交流団体、AFS主催の「AFS世界平和フォーラム」に出席してスピーチを行い、核兵器廃絶に向けた国際世論を喚起しました。
10月11日(月)
10月12日(火)
10月13日(水)
アルゼンチン大統領府を訪問し、エクトル・ティメルマン外務大臣、続いてオスカル・パリーリ大統領府長官と面会し、アルゼンチンでの平和市長会議加盟都市の拡大と、2020年までの核兵器廃絶に向けた協力を要請しました。
さらに、アニバル・フェルナンデス首相と面会し、ラテンアメリカ諸国が1967年に結んだ非核兵器地帯条約、トラテロルコ条約の重要性を指摘するとともに、アルゼンチンをはじめとするラテンアメリカ諸国が、再度核兵器廃絶の先頭に立ってほしいと訴えました。また、将来世代のために核兵器廃絶が必要であること、都市が地球的問題の解決に役立てること、2020オリンピックの開催の可能性を検討していることなどについて説明すると、フェルナンデス首相は、「我々は同じゴールを目指している」と賛同の意を示されました。
夕方には、平和市長会議とラテンアメリカ自治体協議会及びアルゼンチン自治体協議会との間で協力関係を確認する文書への署名式を行いました。秋葉市長はあいさつで、将来世代のために核兵器廃絶に向け努力すべきこと、被爆者が存命のうちに廃絶しなければならないこと、そのための具体的な方法の一つが核兵器禁止条約であることを述べ、加えてトラテロルコ条約の重要性を指摘し、ラテンアメリカ諸国の都市が今一度共通の目的に向け協力していくことが必要であると訴えると、会場の多くの自治体関係者から大きな拍手を受けました。 さらに、ラテンアメリカ諸国から集まった市長のうち36名が、この場で平和市長会議の加盟申請書を提出し、秋葉市長は一人ひとりの市長たちと握手して今後の協力を確認しました。
10月14日(木)
ブエノスアイレス市のマウリシオ・マクリ市長に面会しました。秋葉市長は、ブエノスアイレスの歴史的な多様性が創造性につながっていることや21世紀は都市の時代であり地球的な問題の解決に都市が貢献できることなどについて述べるとともに、平和市長会議の活動への協力を求めました。これに対しマクリ市長は、平和市長会議に協力する意向を示しました。
その後連邦議会に移動し、ペドロ・モロビウイ連邦議会上院事務局長に面会しました。秋葉市長は平和市長会議の活動への協力を求めるとともに、来年、核軍縮のための特別な会議を開催することを呼びかけており、ぜひアルゼンチンに協力してほしいと要請しました。モロビウイ事務局長は、検討したい旨を述べ、今後連携していくことを確認しました。
10月15日(金)
ブエノスアイレス市立高等語学院を訪問し、中高生40人に対して講演を行いました。秋葉市長は、高校時代にアメリカに留学して歴史認識の違いがいかに大きいかを認識し、ショックを受けた経験を紹介し、ぜひ広島に来て被爆者の声を聞いてほしいと語りかけました。また、核兵器廃絶のためには行動することが重要であり、小さなことからでも始めて2020年までの核兵器廃絶を共に目指そうと訴えました。
午後から、市内の商業モールにある多目的展示会場で開催されている「サダコと折り鶴」展を視察し激励しました。「サダコと折り鶴」展は、在亜19年の相川知子さん(広島出身)が中心になって設立した「フンダシオン・サダコ」(サダコ財団)の主催で佐々木禎子さんに関するポスター展や折り鶴教室を行っています。広島市から贈ったポスターに多くのブエノスアイレス市民が見入っており、遠く離れた地球の反対側でヒロシマのメッセージが熱心に伝えられていることに感銘を受けました。
10月16日(土)
前日深夜にブエノスアイレス市を発ち、早朝にマルデルプラタ市に到着した秋葉市長は午前9時から同市のグスタボ・プルティ市長との共同記者会見を行いました。プルティ市長は、フォークランド紛争でマルデルプラタでも犠牲が出たことについて述べ、平和の重要性を強調するとともに、平和市長会議へ加盟することをこの場で発表し、秋葉市長に加盟申請書を手渡しました。秋葉市長は、ラテンアメリカ諸国がトラテロルコ条約という人類史的な功績を完成させたことに触れ、力を合わせて核兵器のない世界を実現しようと呼びかけ、大きな拍手を受けました。また、この機会にマルデルプラタをはじめ9市から平和市長会議への加盟申請書が提出されました。
続いて秋葉市長は同市で開催されている「ラテンアメリカ自治体フォーラム」でスピーチを行いました。日本のロックグループの「国境は歴史の傷口で 治せる薬を探している」という歌詞を紹介し、平和市長会議の活動について述べ、世界が協力して核兵器を廃絶すべきこと、市民参加型の外交が必要であること、平和教育が重要であることを強調しました。また、広島市が2020オリンピックの可能性を検討していることを紹介し2020年までに力を合わせて核兵器を廃絶しようと訴えると、会場は大きな拍手でこれに応えました。
夕刻には、ブエノスアイレス市に戻ってエルナン・クレスポ サンタクルス州副知事、アレハンドロ・ビクトリア同州州議会議員、カルロス・サニーニ大統領府法制長官に面会しました。サンタクルス州はネストル・キルチネル前大統領の出身地であり、その妻で現在のクリスティーナ・キルチネル大統領も州議会議員を務めたことがあるなど大統領と縁の深い土地です。秋葉市長は2011年に核軍縮に関する特別な国際会議をアルゼンチンが主導するよう大統領に伝えてほしいと要請し、副知事らはこれを了承しました。
10月18日(月)
公正で平和な世界の実現のため高校生の交換留学を中心に異文化交流の場を提供している非営利の民間国際教育交流団体、AFSが主催する「AFS世界平和フォーラム」に出席しました。会場は約300人の聴衆で満員となり、特に若い人達の姿が多く見られました。秋葉市長は主催者のあいさつに続いてスピーチし、高校時代のアメリカ留学経験を紹介するとともに、現状を変革するための手掛かりとして、プリンストン大学コーネル・ウエスト教授の「変革のための力は私たちの中にあり歴史的な文脈でそれを使うことが重要である」や、トロント大学リチャード・フロリダ教授の「都市の最も本質的な性質は多様性である」、「多様性とこれを受容する寛容さから都市の創造力が生まれる」等の理論について述べました。また、平和に向けた都市の役割を強調し平和市長会議の活動への理解と協力を求めるとともに、ラテンアメリカ諸国が1967年にトラテロルコ条約を発効させた意義と今またリーダーシップを発揮すべき時であることを訴えました。「1972年には生物兵器禁止条約、1993年には化学兵器禁止条約、1997年には対人地雷禁止条約、2008年にはクラスター弾禁止条約が成立した。2015年には核兵器禁止条約を発効させ2020年までの核兵器全廃を実現させよう」と訴えると、会場からは大きな賛同の拍手が起こりました。
なお、同フォーラムには、オーレ・ムヨス元ノーベル平和委員会委員長や、ロゲリオ・プフィルター化学兵器禁止条約機構事務局長、ホルヘ・アルグエロ アルゼンチン国連代表部大使、ニルス・ホーグストベイト駐アルゼンチン・ノルウェー大使等が出席しました。