被爆 80年アルゼンチンの市民が折った20キロの折り鶴、広島「原爆の子の像」に奉納

2025年8月 [相川知子専門委員]

2025年8月5日、ブエノスアイレスからスーツケースいっぱい約20キロの折り鶴が原爆の子の像に奉納されました。これらの折り鶴は、前年10月から11月にかけてアルゼンチン文化庁、サルミエント文化センター、広島市、長崎市の共催によりリベルタ宮殿で開催された「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」の会期中、週末ごとに行われた折り鶴教室で市民の手により折られた鶴、フンダシオンサダコのピースボランティアであるイトゥサインゴ市教員モニカ・マッサ先生指導の折り鶴、ベラサテギ市ラネラ中高等学校の生徒による千羽鶴、フフイ州サン・サルバドール市のフフイ日本人会ならびに同市コミュニティセンターの協力による千羽鶴、さらにロサリオ市の「千羽鶴プロジェクト」によるミニ千羽鶴から成ります。日本とは地球の反対側にあるアルゼンチンからの折り鶴が、平和のシンボルとなったSADAKO像、正確には「原爆の子の像」に奉納されました。

広島市民有志の協力により、夏の観光シーズンの最中、猛暑の早朝6時から奉納が行われ、その様子はInstagram Liveで中継されました。配信では像や碑文の由来についての解説とともに、「子どもたちが再び戦争や暴力、貧困、病気に苦しむことのない世界を」という平和メッセージが発信されました。

フンダシオンサダコ(https://www.instagram.com/fundacionsadako/)は毎年、広島平和記念式典へのオンライン参列を南米から呼びかけてきましたが、今年は現地参列を実施したため、2025年8月6日、原爆投下から80年を迎えた平和記念式典の挙行中の8時15分(アルゼンチン時間5日20時15分)に合わせ、従来の参加者に対し、各地で黙祷を捧げ、平和への願いを共有し、また公式中継を視聴するよう呼びかけました。

同日、フンダシオンサダコ代表であり広島市特任平和大使でもある相川知子は、被爆当時9歳で現在89歳の証言者と偶然電車で同席する機会を得、直接の対話を通じて体験継承の重要性を再確認しました。また、「被爆体験を語り継ぐ会」にて、被爆者である豊永恵三郎さんにロサリオの千羽鶴プロジェクトのミニ折り鶴をお渡しし、アルゼンチンからも平和を祈る人たちがたくさんいることを報告しました。核兵器の脅威が依然として存在する現実を踏まえ、スペイン語圏を中心に南米の人々に記憶と教訓を伝えていく決意を新たにしました。

[写真提供:相川専門委員]