広島平和文化センター 仮訳
「核軍拡競争を停止・後退させるため、米国が世界的な取組を主導することを求める」
世界の核兵器保有数は依然として12,000発を超えており、その85%以上を米国及びロシア連邦が保有している。これらの核兵器は人類にとって耐え難い危険をもたらし続けている。
米露間で残されていた最後の軍備管理協定である新START条約(新戦略兵器削減条約)は2026年2月5日に失効し、後継協定に向けた交渉も行われていない。その結果、この50年間で初めて、米露両国の配備核兵器数に何ら制限が存在しない状況となっている。
2026年4月27日に開幕した核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議において、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は次のように警告した。
「今日、集団的な健忘状態が広がっている。核の威嚇が再び行われ、不信が支配している。長年かけて築き上げられた規範は崩れつつあり、軍備管理は死につつある。世界の軍事支出は昨年2兆7,000億ドルに達した。数十年ぶりに核弾頭数は増加に転じ、核実験の再開も議論されている。さらに、一部の政府はこうした恐るべき兵器の保有を公然と検討している。」
大統領が提案した2027会計年度予算案は、米国の核兵器体系(三本柱)の維持・近代化のため、核兵器関連支出を12%増額する内容となっている。これは前政権による計画を引き継ぎ、新型弾道ミサイル原子力潜水艦、新型地上配備型大陸間弾道ミサイル、新型核巡航ミサイル、改良型自由落下爆弾、新型ステルス長距離爆撃機、それぞれに対応する新型核弾頭及び改良または新規製造されたプルトニウム起爆装置の開発を進めるものである。
米国、ロシア、中国、フランス及び英国で進められている核兵器の質的・量的近代化計画は、1970年から効力を有するNPT第6条の核軍縮義務に違反するものである。
世界の軍事費は2024年に2兆7180億ドルに達し、そのうち米国は全体の37%を占め、次に多い9か国の合計を上回り、中国の3倍以上、ロシアのほぼ7倍に相当する支出となった。
2026年5月1日、NPT運用検討会議において米国代表団長は次のように述べた。
「条約第6条は明確である。同条は、五核兵器国を含むすべてのNPT締約国に対し、核軍縮に関する効果的措置について誠実に交渉を行う義務を課している。これは選択的な義務ではなく、単なる願望でもない。」
広島市長及び長崎市長が会長を務める平和首長会議は、核兵器のない世界、安全で強靱な都市、そして一人ひとりが平和を優先する平和文化の実現に向けて活動している。2026年5月1日時点で、166の国・地域における8,573都市が加盟しており、そのうち245都市が米国の加盟都市である。
2026年5月にブラチスラバで開催された自由都市連合(Pact of Free Cities)サミットにおいて採択された欧州及び米国の市長による声明は、「都市は単なる行政主体ではなく、自由、連帯及び法の支配が脅かされる際に、それらの価値を守ることのできる民主的共同体である」と強調している。
バートランド・ラッセルとアルベルト・アインシュタインは1955年の「ラッセル=アインシュタイン宣言」において、「人間性を心に留め、それ以外のことは忘れよ」と結論付けた。また、これと同様の考え方は、2025年9月26日に採択された全米市長会オクラホマシティ宣言においても、「私たちはまず人間であり、次にアメリカ人であり、最後に党派の一員である」と表現されている。
全米市長会議は、平和首長会議の米国加盟都市が提出した決議を20年連続で採択している。2025年の決議は、「核戦争の瀬戸際から世界を引き戻し、核軍拡競争を停止・後退させるよう米国に求める」決議であった。
よって、以下のとおり決議する。
全米市長会議は、米国政府に対し、NPT第6条を遅滞なく実質的に履行し、核戦争を防止し、世界を核戦争の瀬戸際から引き戻し、新たな世界的な核軍拡競争を停止・後退させるための国際的取組を主導するよう求める。
さらに、全米市長会議は、米国政府に対し、他の8つの核保有国、とりわけロシア及び中国との間で誠実な交渉を行い、核戦力のさらなる増強を停止するとともに、合意された工程表に従って核兵器を検証可能な形で削減・廃絶することを求める。また、すべての核保有国による先制核使用の放棄、米国大統領による核兵器使用命令権限への実効的な抑制措置の導入、冷戦期以来の「即時発射態勢(ヘア・トリガー・アラート)」の終了、新型核弾頭及び運搬手段の開発・配備計画の中止、及び核爆発実験の事実上の世界的モラトリアムの維持を求める。
さらに、全米市長会議は、連邦議会に対し、上記措置を求める下院決議第317号「核戦争の瀬戸際から世界を引き戻し、核軍拡競争を停止・後退させるよう米国に求める」決議及び上院決議第323号「核軍拡競争を停止・後退させるため、米国が世界的な取組を主導することを求める」決議を可決するよう求める。
さらに、全米市長会議は加盟都市に対し、核戦争の危険性の高まり、核兵器がもたらす人道的及び財政的影響、及び核兵器廃絶に向けた国際交渉を主導する米国の誠実なリーダーシップの必要性について、市民の理解を深めるための取組を自治体レベルで実施するよう求める。具体例として、9月26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に合わせた宣言の発出、被爆樹木二世の植樹、原爆ポスター展の開催、及び平和首長会議「こどもたちによる“平和なまち”絵画コンテスト」への参加が挙げられる。
さらに、全米市長会議は、平和首長会議が掲げる加盟都市10,000都市の目標達成を支援するため、すべての加盟都市に対して平和首長会議への加盟を呼びかける。
提案者:
ビーバートン市長(オレゴン州)
アーバイン市長(カリフォルニア州)
ウェストサクラメント市長(カリフォルニア州)
バークレー市長(カリフォルニア州)
バーンズビル市長(ミネソタ州)
ノーマル市長(イリノイ州)
オークランド市長(カリフォルニア州)
