核兵器禁止条約第2回締約国会議への出席等のため代表団が米国・ニューヨーク市を訪問しました。

2023年11~12月

平和首長会議は、米国・ニューヨーク市で開催された核兵器禁止条約第2回締約国会議へ、松井(まつい)一實(かずみ)会長(広島市長)、鈴木(すずき)史朗(しろう)副会長(長崎市長)、香川(かがわ)剛廣(たけひろ)事務総長を含む代表団を派遣し、国連・各国政府関係者等に、非人道的な結末をもたらす核兵器に対する強い懸念を訴えるとともに、締約国に対して、同条約の実効性を高めるための議論を進展させるよう要請し、具体的な核軍縮の進展を求めました。

また、平和首長会議及びICANの共同サイドイベントを開催し、核兵器のない平和な世界の実現に向けた気運を醸成しました。

会期中には平和首長会議原爆展を開催し、広島・長崎の被爆の実相や平和首長会議の取組について理解を深めてもらう機会を設けました。

締約国会議開催地の国連本部
松井会長、鈴木副会長及び香川事務総長訪問日程:2023年11月26日(日)~11月30日(木)

核兵器禁止条約第2回締約国会議(一般討論演説)でのスピーチ
(11月29日)

松井会長は、鈴木副会長と共に平和首長会議の代表として発言し、非核保有国と核保有国との間に不信感が高まっているという現実は、被爆者の切なる願いを根底から打ち消しかねない事態であることを指摘した上で、核兵器禁止条約の実効性を高めていく重要性について言及し、核兵器不拡散条約(NPT)と核兵器禁止条約が補完関係を保ちながら機能するための取組を進めるよう訴えました。

そして、平和首長会議が市民の平和意識を醸成し、あらゆる暴力を否定する平和文化の振興に邁進していく決意を表明し、各国政府代表者に対し、核兵器のない世界の実現に向けた歩みを共に進めるよう呼び掛けスピーチを結びました。

松井会長によるスピーチ

核兵器禁止条約第2回締約国会議(一般討論演説)でのスピーチ
会長スピーチ:英語原文日本語訳  副会長スピーチ:英語原文日本語訳

各国政府代表等との面会

核兵器禁止条約締約国代表

ブロスナン アイルランド外務省軍縮不拡散部長との面会(11月28日)

松井会長は、NPTと核兵器禁止条約の補完性に関するファシリテーターを担うアイルランドのクレア・ブロスナン軍縮不拡散部長と面会し、これまでの同国の核軍縮に向けた取組や核兵器禁止条約成立への貢献に敬意を表するとともに、同国内での加盟都市の拡大や若い世代の平和教育における交流を通じた広島との連携についての期待を述べました。

ブロスナン部長(中央)

ラクメトゥリン国連カザフスタン政府常駐代表との面会(11月29日)

松井会長は、被害者支援、環境修復等に関する非公式作業部会の共同議長であり、第3回締約国会議の議長国であるカザフスタンのアカン・ラクメトゥリン常駐代表と面会し、同国の長年にわたる核兵器のない世界の実現に向けた尽力に敬意を表するとともに、カザフスタンの核実験被ばく地セメイとの協力関係を維持していきたい旨述べました。また、平和首長会議としては、核実験を含む核兵器使用の結末を多くの人に伝え、そのような悲劇は二度と起こさないという共通の思いを市民社会に広げるよう取り組みたいと述べました。

ラクメトゥリン常駐代表(左)

ジンダーワォン国連タイ政府常駐代表との面会(11月29日)

松井会長は、NPTと核兵器禁止条約の補完性に関するファシリテーターを担うタイのスリヤー・ジンダーワォン常駐代表と面会し、第1回締約国会議に続き、平和首長会議原爆平和展の開催を支援していただいたことへの謝意を伝えるとともに、平和首長会議が市民レベルでの核兵器廃絶への機運醸成に向けた取組を行う上で、今後も連携したいと述べました。

ジンダーワォン常駐代表(中央)
オブザーバー参加国

テンプルマン オーストラリア連邦下院議員との面会(11月28日)

松井会長は、スーザン・テンプルマン下院議員のオーストラリアにおける加盟都市拡大への協力に対して謝意を伝えるとともに、市民が安心・安全に暮らせる世界をつくるために1万都市の加盟を目指し活動する平和首長会議への継続的な支援を依頼しました。また、同国がオブザーバー参加に至った経緯を尋ねるとともに、将来、為政者を選ぶことになる若者に対する教育の重要性について意見交換を行いました。

テンプルマン下院議員(中央)
国連関係者等

グテーレス国連事務総長との面会(11月27日)

アントニオ・グテーレス事務総長は、核兵器廃絶、核軍縮は、国連のイニシアチブの一つである平和への課題の中の優先課題であり、核兵器が二度と使われないようにするためには廃絶しかないとの見解を示すとともに、市民や自治体の声は非常に重要であり、世界の都市と共に取組を進める平和首長会議を支持していると述べました。

松井会長は、平和首長会議は為政者の政策転換を後押しするために、市民社会の立場から「平和文化」の振興を進めており、今まで以上に若者の平和教育に注力していきたいと考えているので、国連と日本政府が協力して実施するユース非核リーダー基金のプログラム等でも連携していきたいと述べました。

グテーレス事務総長(中央)
(写真提供:国連/エヴァン・シュナイダー)

デ・ラ・フエンテ核兵器禁止条約第2回締約国会議議長との面会
(11月27日)

松井会長は、今回の締約国会議において条約の実効性を高めるための議論が進展することへの期待を表するとともに、核兵器廃絶に向けて為政者が具体的な行動を起こすよう後押しする「平和文化」の振興を進めるためにも、加盟都市拡大に協力してほしいと要請しました。

これを受け、ラモン・デ・ラ・フエンテ・ラミレス議長は、メキシコ国内の都市に加盟を呼び掛けると応じるとともに、核兵器廃絶に向けたプロセスにおいて、被爆者及び都市の役割は極めて重要であり、今後、被爆者の声を聞くことができる仕組みや、都市が意見を表明できる場を作る必要があるとの見解を示しました。

デ・ラ・フエンテ議長(中央)

パークICAN事務局長との面会(11月27日)

松井会長は、事務局長就任への祝意を伝えるとともに、平和首長会議の活動を紹介し、核兵器使用や核実験が人体・環境に与える長期的な影響を世界の人々に知ってもらうための取組に対する協力を要請しました。

メリッサ・パーク事務局長は、市民社会は為政者を動かす力を持っており、今後同条約の実効性を高めていくために果たす役割は大きいと述べるとともに、来年1月に広島と長崎を訪問することにしており、今後も平和首長会議と緊密に連携していきたいと応じました。

パーク事務局長(右手前)

マクガバン米国下院議員との面会(11月27日)

ジェームス・マクガバン下院議員は、核戦争を防止するために米国が世界規模の取組を主導することなどを求める「核兵器禁止条約の目的及び規程を受け入れる決議案」を下院に提出しており、現時点で40人程度のサポートを得ていることなど、自身の活動を説明しました。

松井会長は、決議案の内容を画期的なものであると評価した上で、米国内での平和首長会議加盟都市拡大に向けた協力を要請するとともに、今後核兵器のない世界の実現に向けた取組を連携して進めたいと呼び掛け、快諾を得ました。

マクガバン下院議員(右から2人目)

主催行事等

平和首長会議及びICANの共同サイドイベントの開催(11月27日)

60名を超える聴衆で会場が満員となる中、「核兵器のない世界を求める市民社会の声」と題したICANとの共同サイドイベントを開催しました。

ICANのパーク事務局長の開会挨拶から始まったサイドイベントは、KNOW NUKES   TOKYOのなかむらすず代表の進行の下、被爆地からのメッセージとして、松井会長からの紹介を受けて、広島で被爆したまきとしゆき氏が自身や家族の被爆体験を証言するとともに、世界の為政者に対し、戦争をなくし核兵器廃絶を目指すよう訴えました。続いて鈴木副会長からの紹介を受けて、長崎で被爆したともなが氏がスピーチを行い、核兵器禁止条約の成立過程に関与してきた経験に触れるとともに、世界市民として世界の結束に向け取り組もうと呼び掛けました。

そして、本年4月にICAN等が広島で開催した「広島G7ユースサミット」に参加した米国及びドイツの若者が取組発表を行った後、被爆者と若者間の対話を行いました。最後は、平和首長会議の副会長都市である米国・デモイン市のフランクリン・カウニー市長が同市の取組を紹介すると共に、平和首長会議の協力強化を訴える閉会のスピーチを行いました。


サイドイベントの様子

平和首長会議原爆平和展(11月27日~12月1日)

同会議の会期中、国連本部において、会議出席者や国連関係者に広島・長崎の被爆の実相や核兵器の非人道性、平和首長会議の取組について理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆平和展を開催しました。

原爆平和展の様子