核兵器禁止条約第1回締約国会議への出席等のため代表団がオーストリア・ウィーン市を訪問しました。

2022年6月

平和首長会議は、オーストリア・ウィーン市で開催された核兵器禁止条約第1回締約国会議と核兵器の人道的影響に関する国際会議へ松井まつい一實かずみ会長(広島市長)、田上たうえ富久とみひさ副会長(長崎市長)、小泉こいずみたかし事務総長を含む代表団を派遣し、国連・各国政府関係者等に、非人道的な結末をもたらす核兵器に対する強い懸念を訴えるとともに、核兵器廃絶に向けた議論を前進させるための努力を求めました。

また、平和首長会議及びICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の共同サイドイベントや、平和首長会議原爆ポスター展を開催し、核兵器のない平和な世界の実現に向けた気運を醸成しました。

核兵器禁止条約の初の締約国会議では、条約の内容を実現する方策を盛り込んだ「ウィーン宣言」と具体的な手順や行動を定めた「ウィーン行動計画」が採択されました。とりわけ、核兵器禁止条約がNPT(核兵器不拡散条約)など既存の条約を補完するものであることが強調されました。

松井会長訪問日程:2022年6月18日(土)~6月26日(日)

6月20日(月)

核兵器の人道的影響に関する国際会議の傍聴

主催国オーストリアや国連の代表者の開会挨拶に続き、「核兵器の使用と実験による被害者の証言」では、被爆者やその子孫が原爆被害や生涯続く被爆者の不安や苦しみについて訴えました。

タイ外務省国際機関局次長との面会

松井会長は、締約国会議の会場内で平和首長会議原爆ポスター展を開催するに当たり、タイにスポンサーになっていただいたことへの謝意をエクオン・クナチャロエン次長に伝えるとともに、核兵器禁止条約の批准国拡大に向けた平和首長会議の活動に協力いただくよう依頼しました。

クナチャロエン次長(中央)との面会

包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)事務局長との面会

ロバート・フロイド事務局長は、包括的核実験禁止条約(CTBT)は発効していないが、172か国が批准しており、同条約への署名が始まった1996年以降、それまで2,000回を超えていた核実験が激減し、全ての国に平和と安全保障をもたらしているとの見解を述べました。

松井会長は、同条約のように批准国を拡大することにより、核兵器禁止条約を実効性のあるものにするため、平和首長会議の加盟都市と共に、核兵器使用には非人道的な結末が待っているとの認識を広めていきたいと述べました。

フロイド事務局長(中央)との面会

6月21日(火)

国連事務次長兼軍縮担当上級代表との面会・署名の手交

中満なかみついずみ上級代表は、締約国会議にオブザーバーを含め想定の倍以上の参加があることに触れ、核兵器廃絶に向け、こうした様々な推進力を活用していきたいと述べました。松井会長は、核兵器禁止条約の批准国拡大を図り、核保有国の核軍縮に向けた動機付けにしたいと述べました。また、同条約の早期締結を求める約29万筆分の署名の目録を手渡しました。

署名の目録を受け取る中満上級代表(右)

平和首長会議とICANの共同サイドイベントの開催

100人を超える聴衆が集まる中、「核兵器のない世界を目指す市民社会の声」と題したICANとの共同サイドイベントを開催しました。松井会長が開会挨拶を行った後、「被爆者からのメッセージ」として、長崎市議会の深堀ふかほり義昭よしあき議長は「長崎を最後の被爆地に」と訴え、日本被団協の家島いえしま昌志まさし代表理事は自身の経験を交えて放射線障害の恐ろしさを訴えました。また、副会長都市である英国・マンチェスター市のエドワード・ニューマン市議会議員が平和首長会議の概要や取組を発表し、核兵器廃絶に取り組む若者代表として、ICANノルウェーのマヤ・トンプソンさんとKNOW NUKES TOKYOの中村涼香すずかさんが核兵器廃絶に向けた思いや取組を発表しました。

参加者からの質問に答える発表者

ICAN事務局長との面会

ベアトリス・フィン事務局長は、共同イベントのタイトルにもなった「市民社会の声」について、ノルウェーでは市民の声が政府をオブザーバー参加に導いたことを例に、新しい動きをつくり出す動機付けになり得るとの認識を示し、平和首長会議と協力して実施できる取組を考えたいと述べました。

核兵器禁止条約第1回締約国会議(一般討論)でのスピーチ

松井会長は、田上副会長と共に平和首長会議の代表として発言し、ロシアによるウクライナ侵攻により生じた事態を解消するための方法が人類の築き上げてきた努力を無にするものではあってはならないと指摘した上で、国連を始め、各国や市民社会が一丸となり、核兵器禁止条約を実効性のあるものにするため、同条約を批准する国、とりわけ非核保有国を増やすことにより、核保有国に核兵器の非人道性と核兵器管理の不確実性に対する認識を深めさせることが急務であると訴えました。さらに、平和首長会議や広島・長崎両市の取組を紹介し、来年広島で開催されるG7サミットへの期待を表明するとともに、核被害者援助の充実も含めて同条約の目標達成を呼び掛けました。

松井会長(左)・田上副会長(右)によるスピーチ

核兵器禁止条約第1回締約国会議における会長・副会長スピーチ
会長(広島市長): 日本語訳英語原文
副会長(長崎市長):日本語訳英語原文

平和首長会議役員都市意見交換会及びヨーロッパ支部会議への出席

広島・長崎両市を始め、ヨーロッパの役員都市等11都市が出席し、自都市の活動や現在の国際情勢、10月の第10回総会などについて意見交換や情報共有を行いました。

意見交換会の様子

6月22日(水)

赤十字国際委員会(ICRC)軍備・敵対行為ユニット長との面会

ローラン・ジゼール ユニット長は、核兵器廃絶に向けた平和首長会議とICRCの方針は一致しており、持続可能な努力をする必要があることから、若者の役割を共に追求していきたいと述べました。松井会長は、「子どもたちによる“平和なまち”絵画コンテスト」について紹介し、「平和文化」を特に若い世代に広げる取組に協力していただくよう依頼しました。

ジゼール ユニット長(中央)との面会

オーストラリア連邦下院議員との面会

核の傘の下にありながらオブザーバー参加を決断した理由を松井会長から問われたスーザン・テンプルマン下院議員は、核兵器に対する懸念を締約国と共有しており、この会議で得た情報を持ち帰り、今後の方針を検討するために参加していると述べました。

テンプルマン下院議員(右)との面会

6月23日(木)

在ウィーン国際機関メキシコ政府代表部特命全権大使との面会

ルイス・カンプザーノ大使は、核兵器禁止条約の批准国拡大には平和首長会議を始めとする市民社会の関与が重要だとした上で、全ての国の批准を目指すと述べました。

カンプザーノ大使(左から2人目)との面会

ノルウェー外務省特命軍縮大使との面会

ヨルン・オスムンセン大使は、核兵器禁止条約と既存の核軍縮条約の補完性が確認されることが重要であるとの見解を示しました。また、立場が異なっていても、締約国会議に参加し建設的な対話をすることが大切だと述べました。

松井会長は、核兵器のない世界に向けては、NPTが入口となり、核兵器禁止条約が出口となる考えを伝え、核の傘の下にありながら、核兵器禁止条約が機能するように努められている同国のアプローチを支持すると述べました。

オスムンセン大使(左)との面会

6月21日(火)~6月23日(木)

平和首長会議原爆ポスター展の開催

核兵器禁止条約第1回締約国会議の会場において、会議に参加した方々に被爆の実相についての理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆ポスター展を開催しました。

原爆ポスター展の様子

平和首長会議