松井会長(広島市長)及び田上副会長(長崎市長)は、ノルウェー・オスロ市で開催されたノーベル平和賞授賞式に出席し、被爆者や受賞者のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と現地で喜びを分かち合うとともに、各国政府関係者との面会やマスコミのインタビュー等の機会を捉えて、核兵器禁止条約は被爆者の苦しみや核兵器の非人道性に言及した市民社会の意識の大きな転換を促す重要な条約であり、その早期発効に向けて全ての国が条約に署名・批准するよう訴えました。
松井会長及び田上副会長訪問日程:平成29年12月8日(金)~12月12日(火)
12月9日(土)
被爆樹木の種の贈呈式
オスロ大学植物園において、20人余りの広島・長崎の被爆者たちの見守る中、ヨハンセン オスロ市事務総長、ストールン オスロ大学長、松井会長及び田上副会長が、広島で被爆したナツメ、エノキ、クロガネモチ、イチョウから採取した種を鉢に植えました。
松井会長は、種が平和の象徴としてオスロの地に根付き、その成長とともに核兵器廃絶に向けた機運が高まり、平和への思いが広く、長く共有されることを願うと伝えました。
ドンコ駐ノルウェー大使及びクメント駐EU政治安全保障委員会大使(オーストリア)との面会
ドンコ大使は、広島・長崎が核兵器の非人道性を訴える上で担っている役割は非常に大きく、ICANや被爆者が共に取組を進めていくことが大切だと述べられました。また、クメント大使は、核兵器使用による壊滅的な地球規模の破壊について核保有国に知らせることや核抑止に依存する安全保障が誰に安全をもたらすのかという論理的な議論の必要性について考えを述べられました。
12月10日(日)
ビデガライ外務大臣、カストロ駐ノルウェー大使及びロモナコ駐米州機構代表部大使(メキシコ)との面会
ビデガライ外務大臣は、今後も核兵器禁止条約への批准を含め、核兵器廃絶に向けた現実的な取組を強い決意を持って継続する、広島・長崎の果たしている役割は非常に大切であり、平和首長会議の取組を支持すると述べられました。
松井会長は、核兵器廃絶を支持する市民社会の声を拡大するため、メキシコ国内での平和首長会議の加盟都市拡大に対する協力を要請し、田上副会長は、加盟都市を通じて核兵器の非人道性について世界の人々に知ってもらい、核兵器廃絶に向けた意識を醸成していきたいと伝えました。
セーブ・ザ・チルドレン平和賞パーティー
12歳の子供達12人が企画・運営する受賞者を祝う会に、マリット ノルウェー王太子妃やフィンICAN事務局長等と共に来賓として参加しました。
約200人の子供達も集まる中、「私の夢を焼かないで」というテーマのパフォーマンスや子供代表によるフィン事務局長へのインタビューが行われました。
ノーベル平和賞授賞式
授賞式は、ハラルド5世ノルウェー国王陛下を始め、ICANの主要メンバーや被爆者代表、松井会長、田上副会長を含めた約1,000人が参列し、厳粛に執り行われました。フィン事務局長は、「核兵器は私たちを決して安全にはしない」と核抑止に頼る安全保障を否定し、人類の終わりではなく核兵器の終わりを選択することは理性的な選択であるとし、全ての国が核兵器禁止条約に参加すべきだと訴えられました。また、サーロー節子氏は、自身の被爆体験を語り、核兵器は必要悪ではなく絶対悪であり、核兵器禁止条約を核兵器の終わりの始まりにしようと力強く呼び掛けられました。
ガードナー駐ノルウェー大使及びオハロラン軍縮不拡散部長(アイルランド)との面会
ガードナー大使は、被爆者が少なくなっていき、人々の記憶も薄れていくが、二度と同じ惨禍が起こらないようにしていかなければならないと述べ、オハロラン部長は、今回の受賞が良い刺激をもたらし、核兵器禁止条約の批准国が増えていくことを願うと述べられました。
ゴンザレス外務宗務大臣及びホワイト駐ジュネーブ国際機関代表部大使(コスタリカ)との面会
ゴンザレス外務大臣は、核兵器禁止条約への批准拡大に向けて被爆地のサポートは重要であり、平和首長会議の取組を支持している、国としてできることがあれば力になりたい、今回の受賞による核兵器廃絶の機運の高まりを低下させないよう、条約の批准国を増やしていきましょうと述べられました。
松井会長は、ホワイト大使の条約採択への大きな貢献に感謝するとともに、2020年までに平和首長会議の加盟都市を10,000都市に増やすことにより市民社会の中で影響力を高め、核保有国等の為政者が考えを改めるよう環境づくりを着実に進めていきたいと伝え、田上副会長は、広島・長崎以外の人々へのアプローチが重要であり、市民社会の声を大きくしていきたいと伝えました。
アルジャジーラ受賞者インタビュー
地元の学生など約700人が集まる中、フィン事務局長は、若い人には市民社会で行われている様々なことに関わり、働き掛けることで状況は変えていくことができるということを体験してほしいと述べられました。
トーチライトパレード
オスロ市内の中心部では、人々がたいまつを持って核兵器廃絶を願うパレードが行われました。パレードの終着地点でフィン事務局長とサーロー節子氏が手を振る中、幅広い多くの市民が、自国政府の核兵器禁止条約への署名を求める看板や核兵器廃絶を訴える横断幕を掲げていました。“Yes, I can!”と声が上がり、同調する声がどんどん大きくなっていきました。