全米市長会議(USCM)が平和市長会議の活動に対する賛同決議を採択しました。

2013年6月24日[第81回全米市長会議年次総会(米国・ネバダ州ラスベガス市)]

広島平和文化センター 仮訳
原文は英語(こちらから)

世界の核兵器廃絶へ向け行動すること、および軍事費を国内で必要とされる事業へ転換することにおいて、米国のリーダーシップを求める決議

1.2009年4月にバラク・オバマ大統領がプラハにおいて、「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある。我々は単独ではこの取り組みを成し遂げられないが、それを主導し、開始することはできる。故に私は本日、信念を持って表明する。米国は、核兵器のない世界の平和と安全を追求するのだと。」と宣言したが故に

2.2012年11月に国連総会は、すべての加盟国が参加できる「核のない世界を達成し維持するための多国間の核軍縮交渉を提案する」作業部会を立ち上げ、2013年9月26日に核軍縮に関する国連総会初の首脳級会合を予定しているが故に

3.1968年の核不拡散条約の加盟国は、「核軍拡競争の早期停止並びに核軍縮に関する効力ある措置について、誠実に交渉を遂行する義務があり」、全米市長会議は、国連事務総長が5項目の提案で述べたように、平和市長会議が呼びかける2020年までの総括的な核軍縮交渉の開始が成立、実施されるよう要請する決議を、2004年から定期的に採択してきたが故に

4.ノルウェー政府により、2013年3月にオスロで開催され、127か国、国連、赤十字国際委員会、平和市長会議等の市民社会の代表者が参加した核兵器の人道的影響に関する歴史的な会議は、第一対応者である市長に関し、以下の3点を強調した。

  • 「どの国家、あるいは国際機関も核爆発が引き起こす緊急の人道的危機に適切に対処し、被災者に十分な支援を与えることはできないであろう。
  • 過去の核兵器の使用及び核実験の経験から、核兵器は壊滅的で即時的な影響と長期的な影響を与えるものであることが明らかである。政治的状況は変わっても、核兵器の破壊力は変わらない。
  • 核爆発の影響は、その原因に関わらず、国境による制約を受けず、地域的にも世界的にも、国家や人々に重大な影響を及ぼすであろう」故に

5.全米市長会議は、新たな国連軍縮作業部会の5月の会合、及びオスロでの核兵器の人道的影響に関する会議に、米国を含む国連安全保障理事会の常任理事国5か国が参加しなかったことに深い憂慮の念を表明するが故に

6.冷戦終結から約25年が経過しても、推定で約1万7,300発の核兵器が存在し、その94%を米国とロシアが保有するなか、依然として人類に耐えがたい脅威を呈し続けているが故に

7.核兵器の先制使用という脅迫が米国とロシアの国家安全保障政策の中心に依然としてあり、中東、東南アジア及び朝鮮半島の核をめぐる緊張状態は、核戦争の可能性が現在もあることを想起させるが故に

8.オバマ政権が、2014年会計年度予算で、エネルギー省の核兵器事業に78億7000万ドルを要求したことは、2012年執行予算額からインフレ調整額で9%の増加であり、過去最高であることを示しており、ミサイルや爆撃機配備の核弾頭の性能向上、新規のウラニウム処理施設の建設、トリチウムの製造、プルトニウムの製造及び実験につながる核兵器の寿命延長計画やその他の既存の核兵器の備蓄維持計画のための資金増加となるが故に

9.米国国防総省は、2014年会計年度予算で120億ドルの追加を要求したが、これは、新型の核兵器搭載可能重爆撃機、オハイオ級代替原子力潜水艦の2031年までの開発、450発のミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの寿命の延長、又は今後数十年以内の新型核装備弾頭ミサイルとの交換等の核兵器運搬システムの維持管理と近代化のためであるが故に

10.米国空軍は、今後6年間で、核爆弾B61の精度を高めるための誘導尾翼部分の開発に10億ドル以上を費やす計画であり、国防総省は、新型F-35統合打撃戦闘機に推定総額3,360億ドル以上を費やし、その別型機には欧州NATO基地に配備されているより高精度の誘導核爆弾B61が搭載される計画であり、これは米国の非戦略核戦力を著しく高め、ロシアが自軍の非戦略核兵器削減を一層容認しにくくしているが故に

11.オバマ政権が、今後5年間で核兵器の研究、製造、維持に23%増の予算要求を行っているが故に

12.核兵器関連の歳出が国防総省の歳出の代名詞となっており、戦費を含まず過去12年で実質50%の伸びを示しており、論争対象となっている「削減」の大半は、増加率における削減のみであるが故に

13.国内財政が依然として困難を極めていた2012年に、米国は6,820億ドルを軍事費に使い、これは2位以下の11か国の軍事費の総額に匹敵し、世界全体の軍事費の約5分の2を占めているが故に

14.米国の深刻な経済危機は、21世紀における持続可能な経済創出のために新たな優先事項を導入することによってのみ取り組むことができるが故に

15.米国が長引く不況から抜け出しつつあるなか、3月に発動した予算の自動削減で都市の経済回復が危ぶまれ、地域開発ブロック助成金、セクション8住宅バウチャー、ヘッドスタート等の連邦政府事業の削減により、都市、地方部局、非営利団体が、職員の解雇、サービスの縮小・廃止、インフラ事業の遅延、中・低所得者層向け事業の給付の削減を余儀なくされているが故に

16.平和市長会議の加盟都市が156か国からなる5,600都市あまりを数え、その10億人を超える人口を代表して発言する組織となり、米国の加盟都市数は200都市に迫る勢いであるが故に

17.全米市長会議は、2010年、2011年、2012年に核兵器にかかる歳出の大幅削減とその資金を自治体が必要とする事業に転換するよう求める決議を採択し、2011年には、「軍事費を国内で必要とされる事業へ転換するよう米国連邦議会に要請する」第二決議を採択したが故に

18.全米市長会議は、オバマ大統領に対し、2013年9月26日の国連総会の核軍縮に関するハイレベル会合で発言し、核軍縮に関する国連事務総長の5項目の提案を支持することにより、核のない世界の平和と安全保障を達成するというプラハでの決意を再確認するよう要請することを決議し、かつ

19.全米市長会議は、米国政府に対し、国連軍縮作業部会の8月の会合に参加し、「核兵器のない世界の達成及び維持のための多国間核軍縮交渉を進める提案の進展」に尽力し、また作業部会の委任期間の2013年以降の延長を支持することにより、誠意を示すよう要請することを更に決議し、かつ

20.全米市長会議は、米国政府に対し、2014年初頭にメキシコ政府主催で開催される核兵器の人道的影響に関するフォローアップ会議に参加することにより、誠意を示すよう要請することを更に決議し、かつ

21.全米市長会議は、大統領並びに連邦議会に対し、核兵器システムの近代化のための資金を削減し、無能化及び解体を待つ現存兵器の安全保障を確保するために必要最小限なレベルまで核兵器関連の歳出を削減し、これらの資金を都市が緊急に必要としている事業に転換するよう要請することを更に決議し、かつ

22.全米市長会議は、大統領並びに連邦議会に対し、軍事費を削減し、米国で劇的に増加している貧困や不平等に取り組む事業にこれらの資金を再投資し、社会的なセーフネットを修復し、社会保障や高齢者向け医療保険制度を保護するために緊急措置を取り、雇用を創出し、軍事契約企業等の離職者を再訓練し、劣化するインフラを再構築し、持続可能なエレルギーの未来のための新技術に投資し、地方自治体が主要な公的サービスを回復、維持できるよう支援し、教師、警察官、消防士等の労働者を再雇用するよう要請することを更に決議し、かつ

23.全米市長会議は、平和市長会議に対する継続的支援、協力を表明することを更に決議する。