2015年NPT再検討会議第2回準備委員会に合わせて代表団がスイス・ジュネーブ市を訪問しました。

2013年5月

 スイス・ジュネーブ市で開催されたNPT再検討会議第2回準備委員会に合わせて平和市長会議代表団を派遣し、NGOセッションでのスピーチで各国政府関係者等に核兵器の非人道性と「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた取組の必要性を訴えるとともに、コルネル・フェルッツァ準備委員会議長に「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名を提出しました。
また、多くの関係者と面会し、一日も早い核兵器廃絶に向けた尽力をお願いするとともに、8月に広島で開催する第8回平和市長会議総会での提案に向け、役員都市等と運営体制の充実方策について意見交換等を行いました。

広島市長訪問日程:2013年4月20日(土)から4月26日(金)

長崎市長訪問日程:2013年4月20日(土)から4月27日(土)

4月22日
NPT再検討会議第2回準備委員会オープニングセッション傍聴

コルネル・フェルッツァ準備委員会議長の進行により、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表が挨拶を行い、NPTの目的である核不拡散、核軍縮、原子力の平和利用について、2010年NPT再検討会議での取決めに従って、各国が行動していかなければいけないと呼び掛けました。
続いて、第3回準備委員会を平成26年4月28日から5月9日までの間ニューヨークで、また、2015年NPT再検討会議を平成27年4月27日から5月22日までの間同じくニューヨークで開催することが決定されました。

NPT再検討会議第2回準備委員会オープニングセッション傍聴
天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使との面会

天野大使と面会し、核兵器の非人道性について広島・長崎両市は日本政府と共通認識を持っていると信じており、南アフリカ等が発表する予定である「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に日本政府として是非賛同してもらいたいと要請しました。
天野大使は、平和市長会議の加盟都市数が増加している点を評価するとともに、日本政府と広島・長崎両市は、「核兵器のない世界」を目指すという方向性において共通しており、協力できることを共に進めていきたいと述べました。

天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使との面会
カシムジョマルト・トカエフ国連欧州本部長との面会及び平和市長会議要請文の提出

トカエフ本部長との面会は、平成23年の国連欧州本部における被爆に関する常設展示での開会式に続き2回目でした。トカエフ本部長は、国連と広島・長崎両市は共通のゴールを目指しており、このように繰り返し協議の場を持つことは非常に重要であると発言し、昨今の北朝鮮の動向に懸念を示しつつ、「核兵器のない世界」に向け共に取組を進めていく必要があると述べました。
松井市長は、国同士が疑心暗鬼となり、不信感を持つ限り核兵器はなくならないとし、国連から各国のリーダーに対し、核兵器は「絶対悪」であるというメッセージを発信してもらいたいとの要請を行いました。また、潘基文国連事務総長に宛てた「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた取組の推進を求める要請文を手渡しました。加えて、今後も国連と価値観を共有し、協力しながら活動を続けていきたいと述べたところ、トカエフ本部長からは、引き続き平和市長会議の活動を支持し、協力していきたいとの発言がありました。

カシムジョマルト・トカエフ国連欧州本部長との面会及び平和市長会議要請文の提出
4月23日
国際安全保障フォーラム傍聴

国際安全保障フォーラムの「核軍縮を巡る情勢」をテーマとした分科会を傍聴しました。フォーラムでは、ギャレス・エバンズ 元オーストラリア外務大臣、ジャヤンタ・ダナパラ元国連軍縮問題担当事務次長、デスモンド・ブラウン元英国国防大臣がスピーチを行い、具体的進展が見られない2010年NPT再検討会議のアクションプランの実施に向け、市民社会の後押しが欠かせないなどという発言がありました。
質疑応答の中で、広島平和文化センターの小溝理事長は、現在の相互不信に基づく不安定な安全保障体制に依存し続けるのではなく、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という願いを共有し、同胞意識に基づく安全保障体制構築が必要であると発言し、そのためにはグローバルな視点でのコミュニティ意識の醸成が必要であると訴えました。

フレッド・タナー ジュネーブ安全保障政策センター所長との面会

タナー所長は、核兵器の非人道性を巡る動きが加速しているとし、今後の展開に期待を示しましたが、他方、今年3月のオスロにおける「核兵器の人道的影響に関する国際会議」に核保有国が参加しなかったことに懸念を示し、こうしたプロセスに市民社会をどう巻き込んでいくかが重要であると述べました。また、加盟都市が5,500を超えた平和市長会議の活動を高く評価するとともに、市長同士の強力なネットワークを活用し、政治的な面で重要な役割を果たすことに期待する旨の発言がありました。

フレッド・タナー ジュネーブ安全保障政策センター所長との面会
クリスティーヌ・ベアリ 赤十字国際委員会副総裁との面会

冒頭、ベアリ副総裁は、故マルセル・ジュノー博士の活動を原点として広島と赤十字国際委員会は伝統的に強い結びつきがあること、また、近年の核兵器の非人道性を巡る動きは、平成22年に赤十字国際委員会総裁が強力なステートメント行ったことがきっかけとなっていると述べました。
松井市長は、ジュノー博士をはじめとする赤十字国際委員会の活動に敬意を表するとともに、近年、総裁等が核兵器の非人道性を訴える上で重要な役割を果たしていることに対し、被爆地としての感謝の言葉を述べました。また、福島での原子力発電所の事故を例に挙げ、核は平和的に利用するため厳重に管理しようとしてもそれがなかなかできないことが証明されたと述べ、ベアリ副総裁に対し、核兵器がこの世にあってはならない「絶対悪」であるというメッセージを世界に発信してもらいたいと要請しました。さらに、平和市長会議と赤十字国際委員会の連携強化の必要性を述べるとともに、赤十字国際委員会から国連や関係国際機関への働き掛けを強めてもらいたいと要請しました。
ベアリ副総裁からは、赤十字国際委員会と平和市長会議には、核兵器使用による影響への認識や核兵器廃絶を目指すという目標など共通項が多く、特定のプロジェクトなどにおいて実質的な協力関係を深めていきたいとの発言がありました。

クリスティーヌ・ベアリ 赤十字国際委員会副総裁との面会
各国政府関係者との面会

米国国務省多国間核・安全保障局長をはじめ、オーストラリア、フィリピン、ベルギー、トルコ、マレーシアの政府関係者と面会し、各国の核軍縮に対する取組の説明等を受けるとともに、平和市長会議の活動に対する協力要請や「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた取組への要請等を行いました。

米国国務省多国間核安全保障局長との面会

(米国国務省多国間核安全保障局長との面会)

オーストラリア軍縮大使との面会

(オーストラリア軍縮大使との面会)

フィリピン国連常駐代表との面会

(フィリピン国連常駐代表との面会)

ベルギー軍備管理軍縮局長との面会

(ベルギー軍備管理軍縮局長との面会)

トルコ国際安全保障局長との面会

(トルコ国際安全保障局長との面会)

マレーシア政府代表部参事官との面会

(マレーシア政府代表部参事官との面会)

平和市長会議運営体制充実に向けた意見交換・情報交換

今年8月に広島で開催する平和市長会議総会での提案に向け、役員都市等と運営体制の充実方策について意見交換等を行い、以下の点について合意しました。
(1)平和市長会議メンバーシップ納付金の負担(1都市当たり毎年2,000円)
(2)平和市長会議の地域グループ化の推進(リーダー都市の選定と支部の設置)
(3)被爆樹木の種の配付・育成と平和記念公園内にある「平和の灯」の分火・継承

平和市長会議運営体制充実に向けた意見交換・情報交換
4月24日
NPT再検討会議第2回準備委員会NGOセッション出席

NGOセッションでスピーチを行い、昨年の平和宣言の一節を引用しつつ、核兵器が非人道兵器の極みであり、「絶対悪」であることを強く訴えました。また、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という心の底からの願いに国際社会が耳を傾け、その思いを共有し行動するよう呼び掛けるとともに、現在の疑心暗鬼や相互不信に依拠する不安定な安全保障体制ではなく、同胞意識に根差した安全保障体制の構築に向けて共に努力していく必要があると訴えました。その上で、各国政府代表者に対し、核兵器禁止条約の交渉開始に向けたリーダーシップをとるよう要請しました。

会長スピーチ 副会長(長崎市)スピーチ

NPT再検討会議第2回準備委員会NGOセッション出席
平和市長会議2020ビジョンキャンペーン協会役員会

同協会の2012年度の会計や活動状況などの報告事項について承認するとともに、今後の2020ビジョンキャンペーンの行動計画等について意見交換を行いました。

平和市長会議2020ビジョンキャンペーン協会役員会
アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表との面会

アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表と面会し、核兵器の非人道性に焦点を当て核兵器を非合法化しようとする動きがある中、各国政府や関係国際機関に対する働き掛けの強化を要請しました。また、国連を中心として、信頼関係と共同体意識を基礎とした新たな安全保障体制を構築していく必要性を訴えました。
ケイン上級代表からは、日本政府が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかったことに触れた上で、日本国内で様々な議論があると聞いているが、我々の思う正しい方向に議論が向かっていくことを願っている旨の発言がありました。

アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表との面会
天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使への緊急面会

日本政府が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に賛同しなかったことから、急きょ長崎市長と共に天野大使に面会し、今回の結論に至った経緯及び理由を質すとともに、被爆地の思いと重なる今回の共同声明に賛同しなかったことは大変遺憾であり、被爆地の市長として到底納得できるものではないと述べ、日本政府の対応に疑問を呈しました。また、今後提案国等との連携を継続してもらいたい旨の要請を行いました。
天野大使は、この度の声明にあった「いかなる状況下においても核兵器が二度と使用されないことが人類の生存にとって利益である」という部分が我が国の安全保障政策と必ずしも整合していないこと、また、直前まで交渉を重ねたが結果的に時間切れとなり賛同に至らなかったことを説明する一方で、核兵器の社会経済への影響や世代を超えて影響する点への懸念など趣旨としては賛同できる部分も多いと考えていると述べました。これに対し、松井市長は、日本政府は唯一の被爆国としてのビジョンを描き、リーダーシップをとるべきではないかと反論しました。

レミー・パガーニ ジュネーブ市長主催による平和市長会議関係者との懇親会及び「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名の準備委員会議長への提出

パガーニ市長の主催による平和市長会議関係者との懇親会において、平和市長会議の5,500を超える加盟都市と共に、被爆地の思いを共有し、未来志向で核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を合わせて取り組んでいこうと呼び掛けるとともに、8月に広島で開催する総会への多くの人々の参加を要請しました。
また、会場を訪れたNPT再検討会議第2回準備委員会のコルネル・フェルッツァ議長に、「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名(約26万筆の目録と署名の一部)を提出し、同条約の早期実現に向けた尽力をお願いしました。フェルッツァ議長は、平和市長会議の活動に賛辞を送るとともに、この署名に込められた思いを胸に、議長として自分に課せられた責任を果たしていきたいと述べられました。

「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名の準備委員会議長への提出
4月25日
ピースデポ等主催ワークショップ出席

NGO団体のピースデポ等主催の「北東アジアの平和政権及び非核兵器地帯の将来」をテーマとするワークショップに出席し、スピーチを行いました。スピーチでは、多くの人々に広島・長崎の被爆の実相を見てもらい、核兵器は非人道兵器の極みであり「絶対悪」であるという事実を実感してもらいたいと述べるとともに、特に為政者には、被爆者の切実な願いに耳を傾け思いを共有し、「核兵器のない世界」に向けて行動するべきであると訴えました。また、核兵器の非合法化に向けた世界中の市民、NGOの連携を呼び掛けました。

ピースデポ等主催ワークショップ出席