全米市長会議(USCM)が平和市長会議の活動に対する賛同決議を採択しました。

2012年6月16日[第80回全米市長会議年次総会(米国・フロリダ州オーランド市)]

広島平和文化センター 仮訳
原文は英語(こちらから)

世界の核兵器廃絶へ向け行動すること、および核兵器に係る費用を自治体の急務となっている事業へ転換することにおいて、米国のリーダーシップを求める決議

1.冷戦終結後20年以上を経ても、20,000発近く存在する核兵器の95パーセント以上は、米国とロシアの武器庫に存在し、世界のあらゆる自治体や人々に対し、耐えがたい脅威をもたらし続けているが故に

2.近年の研究によれば、広島へ投下された原子爆弾と同規模の爆弾を人口密集地域にわずか100発――すなわち世界の核兵器保有量の0.5パーセント未満――を使用する核戦争が起これば、世界の気候に壊滅的な影響が及び、それにより地球の平均的地表面温度の急激な低下、オゾン層の減少、農作物の生育可能な季節の短縮が引き起こされ、最大で10億人という世界規模の飢餓が起こりうるが故に

3.2011年11月に採択された歴史的な決議において、国際赤十字・赤新月運動は「核兵器の使用の結果予想される計り知れない人間の苦悩、十分な人道的対応をする能力の欠如、核兵器使用を防止することの緊急性」を強調し、「いかなる核兵器の使用も国際人道法の条項と相容れないものである」と認識し、すべての国家に対して、「法的拘束力を持つ国際的合意によって、核兵器の使用禁止と完全廃絶を目指す、誠実かつ緊急で確固たる交渉の追求」を要請したが故に

4.オバマ大統領がプラハでいみじくも、「ひとつの都市で1発の核兵器が爆発すれば、それがどこで発生しようとも、世界の安全、安全保障、社会、経済、そして究極的には我々の生存など、その影響には際限がない」と述べ、2010年の米国「核戦略見直し(NPR)」では「約65年間の核兵器不使用の記録が永遠に延長され続けることが、アメリカにとっての利益であり、また他国にとっての利益である」と主張したにもかかわらず、NPRが通常攻撃を受けた場合に核戦争を始める選択肢を保持し、大陸間弾道ミサイルと潜水艦発射弾道ミサイルの即時警戒態勢のレベルを下げることを明白に拒否し、ヨーロッパにおける北太平洋条約機構(NATO)基地配備のものを含む戦術的戦闘爆撃機と重爆撃機への米国の核兵器の搭載能力を保持したまま、同兵器の近代化を進めているが故に

5.オバマ大統領が2010年に連邦議会に提出した計画によれば、2020年までに1,850億ドルを優に超える金額を米国の核兵器システムの維持と近代化のために投資するとし、そこには核弾頭の新たな製造施設の建設、新たな輸送システムの配備が含まれており、その後の年次予算はこのレベルの資金供給に備えたものとなっているが故に

6.2011年に米国は7,110億ドルを軍事費に費やしており、この額は世界の軍事費総額の41パーセントに相当し、また中国、ロシア、NATO加盟6か国およびNATO非加盟の主要3か国を含む2位以下の14か国の軍事費総額の2倍に相当するが故に

7.現在も続く経済危機によって、市長や自治体は重要な公共サービスをさらに削減するという事態に陥っているが故に

8.連邦政府によるプログラム、たとえば「地区発展助成金(CDBGs)」や「住宅投資提携プログラム(HOME)」などの削減によって、自治体や地方機関、非営利組織が、職員を解雇し、サービスを削減または廃止し、インフラ整備を先延ばしにし、低所得・中間所得家庭への福祉プログラムを削減せざるをえない事態に陥っているが故に

9.全米市長会議は、2004年と2006年以降毎年、平和市長会議と同会議が提唱する2020ビジョンキャンペーン、「都市を攻撃目標にするな(CANT)プロジェクト」への強い支持を表明する決議を採択し、2010年と2011年の決議では、核兵器に係る歳出の削減と、その削減資金を自治体が要求する事業に転換することを要請したが故に

10.全米市長会議は、2011年年次総会において「軍事費を国内で必要とされる事業へ転換するよう米国連邦議会に要請する」第二決議を採択したが故に

11.平和市長会議が、2011年9月21日、すなわち国連が提唱する「国際平和デー」に、加盟自治体が5,000を突破したことを発表し、153か国・地域の5,250を超える自治体が現在同会議に加盟し、世界の首都の半数以上、米国からは190を超える都市が参加しているが故に

12.2011年全米市長会議年次総会での演説において、潘基文国連事務総長が、平和市長会議の重要性と全米市長会議への支持を認め、「この会議で採択される決議を歓迎し、とりわけ、私が提唱する『核廃絶に向けた5項目』に対して繰り返し支持が表明されている点を歓迎する」と述べ、「和平と進歩への道のりは、世界の都市や町のなかに延びている」と締めくくっているが故に

13.全米市長会議は米国大統領に対し、平和市長会議が呼びかける核兵器禁止条約もしくはそれに相当する相互補完的な法的枠組が2020年までに合意・実行されるよう、国連事務総長による「核廃絶に向けた5項目」の提言実行に向け、直ちに他の核兵器保有国の指導者たちと共に行動することを再度要請することを決議し、かつ

14.全米市長会議は米国連邦議会に対し、核弾頭と輸送システム、製造施設の近代化のための資金供給を打ち切り、核兵器への支出額を冷戦時をはるかに下回るレベルにまで大幅削減し、その費用を自治体からの急務となっている事業に充てるよう要請することを更に決議し、かつ

15.全米市長会議は、世界中の核兵器廃絶が実現するまで、核の不使用期間を延長することを確実にするための段階的措置として、合衆国の戦術的核兵器を海外から撤去し、高度警戒態勢にあるあらゆる核武装の即時警戒態勢解除を要請することを更に決議し、かつ

16.全米市長会議は、加盟都市に対し、5,000都市突破記念広島・長崎ポスター展を市庁舎で一般公開することにより、今も続く危機と核兵器に係る費用に関して市民の認識を高め、また平和市長会議理事都市であるモントリオール市が提唱する「平和を願う1分間の黙祷」、すなわち2012年9月21日「国際平和デー」の正午に1分間の黙祷を捧げようという世界への働き掛けに参加して、各都市でのイベントの様子を収めた写真やビデオを専用のインターネットサイトに投稿するよう、要請することを更に決議し、かつ

17.全米市長会議は、平和市長会議に対し引き続き支援を表明し、新規加盟都市の勧誘にこれからも協力することを約束し、4年ごとに広島と長崎で開催される平和市長会議総会および平和市長会議2020ビジョンキャンペーン年次総会において、全米市長会議からの代表派遣を支援することを更に決議し、かつ

18.全米市長会議は、この課題を2013年6月に開催される第81回年次総会で取り上げ、偶発的であれ故意的であれ、あるいは世界のどの地域でも起こりうる限定的な核攻撃の応酬に起因する破滅的気候変動がもたらす地球規模の飢饉によるものであれ、世界の自治体や市民が核による滅亡の脅威にさらされることがなくなるまで、市長たちがこの課題に関与し続けることを更に決議する。