2015年NPT再検討会議第1回準備委員会に合わせて代表団がオーストリア・ウィーン市を訪問しました。

2012年5月

 オーストリア・ウィーン市で開催中の2015年NPT再検討会議第1回準備委員会に合わせて平和市長会議代表団(9か国13都市32人)を派遣し、NGOセッションでのスピーチ、ワークショップの開催や各国大使、国連関係者等との面会を通じ、被爆地の思いを伝え核兵器廃絶に向けた取組の推進を要請するとともに、平和市長会議の活動やNPT再検討会議の広島誘致への協力依頼等を行いました。
 また、ウィーン国際センター及びウィーン市役所で、被爆の実相等に関するポスター展を開催するとともに、2015年NPT再検討会議第1回準備委員会のピーター・ウールコット議長に「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名を提出しました。
 さらに、平和市長会議の今後の運営方法等について加盟都市と協議を行いました。

広島市長訪問日程:2012年5月3日(木)から5月7日(月)
長崎市長訪問日程:2012年4月29日(日)から5月9日(水)

5月2日
NPT再検討会議第1回準備委員会NGOセッション

田上長崎市長は2015年NPT再検討会議第1回準備委員会のNGOセッションで平和市長会議を代表してスピーチを行い、準備委員会に出席している各国政府代表に向けて「被爆者の話に耳を傾け、核兵器の非人道性という本質を心に留めてほしい」と述べるとともに、核兵器禁止条約締結のきっかけとなる合意が得られるよう努力すること、世界各地に非核兵器地帯が創設されるよう努力することを求めました。
また、松井広島市長のNPT再検討会議広島誘致に触れ、実現に向けた支援と協力を呼び掛けました。

5月3日
ウィーン市役所での平和市長会議被爆の実相に関するポスター展オープニング

田上長崎市長はウィーン市役所を訪れ、平和市長会議加盟都市5000突破記念の被爆の実相に関するポスター展のオープニングに出席しました。

ウィーン市への被爆樹木の種子の贈呈(「Green Legacy Hiroshima」)

続いて、ウィーン市議会議員に、(公財)広島平和文化センターのリーパー理事長から「Green Legacy Hiroshima」プロジェクトである被爆樹木の種子が贈られました。

5月4日
平和市長会議主催ワークショップ

ウィーン国際センターにおいて、「核兵器廃絶に向けた広島、長崎、日本の役割とNGOとの連携について」をテーマとしたワークショップを開催し、松井広島市長は被爆地から発信される被爆者の体験や思いを世界の人々と共有することの重要性、核兵器は「絶対悪」であり存在するべきではないこと、2020年までの核兵器廃絶実現に向け平和市長会議の加盟都市を拡大し取組を強化すること、核兵器廃絶実現のためには「核兵器禁止条約」の締結が最も効果的であること、NPT再検討会議など為政者による様々な会議の広島誘致への協力等についてスピーチしました。
また、長崎市長、天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使、NGO関係者が各々の役割についてスピーチを行いました。

ノルウェー及びスリランカ大使との面会

続いて、在ウィーン国際機関代表部ノルウェー大使及びスリランカ大使と面会し、平和市長会議の活動やNPT再検討会議の広島誘致への協力依頼等を行いました。なお、スリランカの大使は、その場で「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める署名用紙に署名してくださいました。

(ノルウェー大使との面会)

(スリランカ大使との面会)

包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長との面会

次に、ウィーン国際センター内にあるCTBTO事務局を訪問し、トート事務局長と面会しました。会談では、核実験を監視する国際監視制度の運用や監視設備の整備、監視データの批准国・署名国への配信など、日頃の努力への評価と謝意を伝えるとともに、平和市長会議の活動への協力依頼を行いました。

平和市長会議加盟都市5000突破記念の被爆の実相に関するポスター展記念行事の開催

ウィーン国際センターのポスター展会場で記念行事を開催し、松井広島市長がスピーチを行い、このポスター展を通じて「甚大な破壊と被害をもたらす核兵器が『絶対悪』であることを一人でも多くの人に心で感じていただき、是非、広島、長崎を訪れ、被爆の実相に直接触れ、被爆者の体験や思いを共有してもらいたいと訴えました。

「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名の提出

また、この時、会場を訪れていた2015年NPT再検討会議第1回準備委員会のピーター・ウールコット議長に「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名(478,303筆の目録と署名の一部)を提出し、一筆一筆に込められた核兵器廃絶への熱い思いを伝えるとともに、同条約の具体的交渉開始に向けての尽力をお願いしました。
ウールコット議長は、こうした平和市長会議の取組を評価するとともに、その場で署名してくださいました。(議長の署名はこちら
さらに、この機会を捉えて同議長にNPT再検討会議の広島誘致への協力依頼を行いました。

5月5日
2020ビジョンキャンペーン協会役員会

平和市長会議の活動として次の取組を進めることを確認しました。
① 平和市長会議加盟都市の拡大と都市や地域レベルでの活動の充実に向けた取組
具体的には、2020ビジョンキャンペーンの充実を図るとともに、「グリーン・レガシー・ヒロシマ」と連携した被爆樹木の種の世界各地に送る取組などを進める。
② NPT再検討会議等各種国際会議への出席や要請書、署名の提出等を通じた国連への働き掛け
③ 必要に応じた国への働き掛け
なお、こうした取組を行うに当たっては、市民の視点を忘れないこと及びNGOとの連携が重要であることを確認しました。

平和市長会議運営基盤強化のための検討会議

今回の会議では、ハノーバーにおける実務担当者レベルの会議での検討内容を確認した上で、来年8月の総会に提出するための成案作成に向け、まずは7月上旬にベルギー・イ―ペル市において、次のような点を含めさらに詳細な検討を行うことになりました。
① これまで広島・長崎両市が負担してきた運営経費は、加盟都市の地域グループごとに分担すること。
② 各地域グループ内での具体的な負担方法については、各都市ごとに一定の負担をすることとするが、イベントの開催収益などを充てることで、その負担軽減を図ること。
③ 負担金を支払えない都市については、構成員から排除するのではなく、構成員としての活動に制約を加えることなどの工夫を行うこと。

中堅国家構想(MPI)名誉議長ダグラス・ロウチ氏との面会

松井広島市長はMPI名誉議長であるダグラス・ロウチ氏(元カナダ軍縮大使、元カナダ上院議員、広島市特別名誉市民)と面会し、平和市長会議の活動への理解を深めてもらうとともに、今後の連携協力の可能性について協議を行いました。

5月6日
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)代表ティルマン・ラフ氏との面会

松井広島市長はICAN代表ティルマン・ラフ氏及びICANのメンバーや他のNGO代表と面会し、平和市長会議の活動への理解を深めてもらうとともに、今後の連携協力の可能性について協議を行いました。この中で、ラフ氏から、本年8月に広島で開催される第20回核戦争防止国際医師会議(IPPNW)世界大会に合わせてICANの会議を開催するとの発言がありました。

平和首長会議