全米市長会議(USCM)が平和市長会議の活動に対する賛同決議を採択しました。

2011年6月21日[第79回全米市長会議年次総会(米国・メリーランド州バルティモア市)]

広島平和文化センター 仮訳
原文は英語(こちらから)

米国大統領に対し、他の核兵器保有国の指導者たちと共に、2020年までの核兵器廃絶へ向け行動することを要請するとともに、連邦議会に対し、核兵器開発に係る費用の削減と削減した資金を自治体の要求する事業へ転換するよう要請する決議

冷戦終結後20年以上、23,000発近く存在する核兵器の95パーセント以上は、米国とロシアの武器庫に存在し、世界のあらゆる都市や人々に対し、耐えがたい脅威をもたらし続けているが故に、

最近の研究によると、広島へ投下された原子爆弾と同規模の爆弾をわずか100発-すなわち世界の核兵器保有量のおよそ0.3パーセント-を用いた核戦争によって、世界の気候に壊滅的で長期間にわたる影響をもたらし、それにより、地球の平均表面温度の低下、オゾン層の減少、作物生育時期の短縮を引き起こし、前例のない世界規模の飢餓をもたらしうるが故に、

「2010年米国核戦略見直し」は、米国の核武力体制の実質的な変化につながらず、国家安全保障政策内の核兵器の役割をわずかに削減しただけで、危険度の高い大陸間弾道ミサイルと潜水艦発射弾道ミサイルの削減は明白に拒否しており、また、欧州の北大西洋条約機構(NATO)基地に配備されたものも含む、戦術的戦闘爆撃機及び重爆撃機への米国の核兵器の搭載量は保持したまま、同兵器の改良を進めているが故に、

オバマ大統領が連邦議会に提出した計画は、新たに3つの核弾頭製造施設とそれに伴う新たな運搬システムの建設費用を含む、米国の核兵器システムの保全・改良のために、2020年までの投資額が、1億8500万ドルをはるかに上回るものであるが故に、

米国には、以前に比べ、5分の1程度のみの弾頭備蓄量にもかかわらず、政府の2012会計年度では、核弾頭の保全・改良のために最大規模の予算要求がなされており、物価の高騰を勘案しても76億3000万ドルの要求は、ロナルド・レーガン元大統領による過去最高額の核兵器関連予算の21パーセント増であるが故に、

三元戦略核運搬システム全てを改良するというオバマ大統領の取組を反映し、2012会計年度の予算要求は、新型空軍長距離核爆撃機の研究・開発に1億9700万ドル、今後の大陸間弾道ミサイルの研究に260万ドル、さらに、2080年まで使用予定な新型弾道ミサイル搭載潜水艦更新のための107万ドルを含んでおり、これら全てが製造される場合、さらに多大な支出を招くが故に、

景気悪化により、市長や自治体は重要な公共サービスの削減を余儀なくされ、100を超える主要都市の失業率が今年末までに2桁となり、政府・連邦議会間の予算策定では、コミュニティ開発包括補助金が16.2パーセント-今年は6億4700万ドル-の削減、そして、エネルギー効率化および保全のための包括的補助金は撤廃され、さらには、市長や市民にとって重要な国内事業の大幅削減がなされ、これほど大規模な削減は近年稀にみるものであるが故に、

平和市長会議には、世界の首都の半数を含む150か国・地域の4,700を超える自治体が加盟し、米国の170を超える自治体も加盟しているが故に、

全米市長会議は、2004年と2006年以降毎年、平和市長会議と同会議が要求する2020年までの核兵器廃絶への交渉、「都市を攻撃目標にするな(CANT)プロジェクト」を強く支持する旨の決議を全会一致で採択したが故に、

平和市長会議は、欧州や南米、アジア、アフリカの各自治体組織によって支持されているが故に、

2010年11月20日にメキシコシティにおいて採択された、第3回都市・自治体連合世界大会の決議文の中で、「新しい国際条約を通じた、2020年までの核兵器のない世界の実現を目指す平和市長会議のキャンペーンを支持する」と表明されたが故に、

潘基文国連事務総長は、原子爆弾投下から65年目の2010年8月6日、広島市において、平和市長会議が進める2020年までの核兵器廃絶を目指す「2020ビジョンキャンペーン」は、「完璧なビジョンだ」と述べ、強く支持し、さらに2011年3月24日、国連は、平和市長会議の重要性を認め、ニューヨーク国連本部において「都市を攻撃目標にするな(CANT)プロジェクト」市民署名活動に寄せられた100万筆以上の署名の常設展示を始めたが故に、

全米市長会議はオバマ大統領に対し、平和市長会議が提唱する、核兵器禁止条約もしくはそれに関連する相互補完的要素を持つ法的枠組が2020年までに合意・実行されるよう、国連事務総長による核廃絶に向けた5項目の提言実行に向け、早急に他の核兵器保有国の指導者たちと共に行動することを、再度要請することを決議し、かつ

全米市長会議は米国連邦議会に対し、核兵器施設と核兵器システム改良への資金供給を打ち切り、核兵器計画への支出額を冷戦時をはるかに下回る額に大幅削減し、自治体からの緊急需要にその費用を充当するよう要請することを更に決議し、かつ

全米市長会議は核兵器保有国の自治体組織に対し、それぞれの自治体組織が自国の政府に対し、核兵器のない世界の実現に向けた交渉に参加し、核兵器に関する資金拠出を大幅に削減するよう要請することを求めることを更に決議し、かつ

全米市長会議は、平和市長会議への継続的な協力を表明し、2011年8月6日の広島原爆記念日までに、平和市長会議が10億人を代表することとなる、5,000自治体加盟という目標を達成するために米国での新規加盟要請に協力することを誓約し、2005年以降同様、2011年内に開催される2020ビジョンキャンペーン協会役員会と平和市長会議理事会へ全米市長会議代表を派遣することを更に決議し、かつ

全米市長会議は、この課題を2012年6月の第80回年次総会で取り上げ、我々の自治体や市民、さらには世界の自治体や市民が、核や破滅的気候変動による滅亡の脅威にさらされることがなくなるまで、市長たちがこの課題に関与し続けることを更に決議する。