ゴータマ・ブッダ国際平和賞受賞に伴うネパール連邦民主共和国訪問について

2011年6月[ネパール・ルンビニ村]

長崎市長 田上富久
 このたび、「第1回ゴータマ・ブッダ国際平和賞」授賞式に招待され、5月15日から20日までの日程で、ネパール連邦民主共和国を訪問いたしました。
 まず、5月17日にゴータマ・ブッダの生誕地ルンビニで、「第1回ゴータマ・ブッダ国際平和賞」授賞式に参列しました。  授賞式当日は、ブッダ生誕の日ということもあり、猛暑の中、ルンビニ公園の会場周辺には多くの方々が訪れていました。千人ほどの方が式典に参列される中で、私と秋葉前広島市長が、ラム・バラン・ヤダブ大統領から受賞メダルを授与されました。
 平和賞は、平和や非暴力に貢献した個人や団体を称えるもので、授賞理由として「昨年のNPT再検討会議で主導的な役割を果たし、核兵器なき世界の実現に大きく貢献した」とされており、被爆者をはじめとして長崎・広島両市の市民が一体となって取り組んできたことが評価されたものとたいへん光栄に思っています。
 授賞式では、受賞記念講演をさせていただき、私は、今回の受賞に感謝を申し上げるとともに、核兵器の問題は人類全体の問題であり、被爆地との連携を深めて、恒久平和の実現と核兵器廃絶をめざそうと呼びかけたところです。
 翌18日には、カトマンズの国立トリブバン大学メモリアルホールで「原爆写真パネル展」を開催し、長崎広島の写真パネル20枚を展示しました。開会式において、私は、原爆展を契機として、多くの皆様に核兵器がもたらす非人道性への理解を深め、共に核兵器廃絶へ取り組みを求めるスピーチを行いました。
 また、非核特使として長崎県被爆者手帳友の会の井原東洋一会長が、自身の体験を証言されるとともに「長崎を最後の被爆地に!」と訴えられたことは会場の人々の胸に印象深かったのではないかと思います。
 ネパールにおける原爆展への関心は高く、トゥラダール教育大臣をはじめ、トリブバン大学副学長、水野達夫駐ネパール日本大使にオープニングセレモニーに出席していただいたほか、学生や大学関係者、一般市民など500名以上の方々に原爆展を見ていただきました。
 原爆展オープニングの後、大統領を表敬訪問して、受賞の御礼を申し上げたほか、文化大臣、ジャラ・ナート・カナル首相への表敬訪問を行いました。
 夜には、旧王宮であるハヌマン・ドガ宮殿での首相主催レセプションに招かれ、政府閣僚や、政府関係者、外交団など多くの方々と懇談することができました。
 このほか、トリブバン大学の教員や学生、メディア関係者との交流会も設けていただき、参加者と意見交換をすることができました。
 以上が今回のネパール訪問の報告です。今回の訪問では、平和賞の創設、盛大な授賞式の開催、大統領や首相など政府代表者との懇談などネパール政府の平和に対する並々ならぬ関心の高さをうかがい知ることができ、また、原爆展や講演会の開催などをとおして、直接ネパールの人々に核兵器廃絶に向けた連帯を呼び掛けることができました。
 今回の訪問をきっかけにして、ネパールの皆さんと平和の交流を深めていきたいと考えています。

「第1回ゴータマ・ブッダ国際平和賞」授賞式

トリブバン大学での 「原爆写真パネル展」