長崎市長の訃報に対するコメント

2007年4月18日

伊藤一長・長崎市長の御容態の回復を心より祈っておりましたが、このたびの訃報に接し、深い悲しみと強い憤りを覚えます。
暴力により政治活動を封殺するこのような事件は、民主主義に対する明らかな挑戦であり、断じて容認できません。

伊藤市長は、長崎市長に就任された1995年から、12年にわたり平和市長会議の副会長を務められ、同じ被爆都市の市長として、共に核兵器廃絶と世界恒久平和を願う被爆地の思いを世界に訴え続けてきました。特に、2000年にニューヨークで開催されたNPT再検討会議では、平和市長会議を代表して国連本部で演説を行うなど各国政府代表者に核廃絶の必要性を強く要請いただいた結果、「核兵器の全面的廃棄に対する核保有国の明確な約束」が採択されるという画期的な成果を導き出すことができました。さらに、2005年のNPT再検討会議では、世界の80都市からなる市長代表団にご参加いただき、世界各国から集まった約4万人の市民の先頭に立ってニューヨークの市街地を行進するとともに、再検討会議の中で各国政府代表を前に被爆地の願いを訴えるスピーチをされました。毅然とした態度で核兵器廃絶に向けた強い決意を表明された力強い姿は今も忘れることができません。道半ばで、凶弾に倒れられた伊藤市長のお気持ちを察すると痛恨の極みです。

今後は、その御遺志をしっかり引き継ぎ、平和市長会議の1,608の加盟都市とともに、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を目指していきます。
ここに、伊藤長崎市長の生前の多大なる御功績に対し深く敬意を表し、心から御冥福をお祈りいたします。

平成19年(2007年)4月18日
平和市長会議会長 秋葉 忠利