英国の臨界前核実験に対する抗議文を発出しました。

英国首相
トニー・ブレア　閣下

抗議文

貴国は、２月２３日に米国ネバダ州の地下核実験場で臨界前核実験を米国と共同で実施した。

国際社会が核拡散を危惧しイランの核開発問題に強い懸念を示す中、その平和的解決に向け率先して取り組んでいる貴国自らが、新たな核兵器の開発につながる臨界前核実験を実施することは断じて許されるものではない。こうした貴国の姿勢が、核兵器の国際合意である核不拡散条約体制を崩壊させ、新たな核拡散を引き起こすことを強く危惧する。

現在、平和市長会議が取り組んでいる「核兵器廃絶のための緊急行動」には、全米市長会議、全米黒人市長会議、欧州議会、核戦争防止国際医師会議(ＩＰＰＮＷ)等が賛同決議を行うなど、世界的に賛同の輪が広がっている。こうした核兵器の廃絶を望む世界の圧倒的多数の市民の声に背を向け、臨界前核実験を実施する貴国の姿勢は、被爆者をはじめ核兵器廃絶を求める世界の人々の願いを踏みにじるものであり、激しい憤りを覚える。我々は、115か国・地域の1,285都市が加盟する平和市長会議を代表して厳重に抗議する。

核保有国が核非保有国の核開発放棄を迫る一方で、2000年のNPT再検討会議で採択された「核兵器の全面廃絶に対する核保有国の明確な約束」を履行しない態度こそが核の拡散をもたらすものである。核の拡散を防ぐためには、国際社会における協調と監視が何よりも重要であり、そのためにも、貴国が臨界前核実験を含む一切の核実験を中止し、核兵器のない平和な２１世紀の実現に向け、率先して明確な行動をとられることを強く求める。

２００６年２月２４日