日本国政府、核兵器国(米・露・英・仏・中)大使館にNPT再検討会議で核兵器廃絶に向けた積極的な役割を果たすことを求める要請文を提出しました。

2005年2月18日
1.概要

2005年2月18日、平和市長会議は日本非核宣言自治体協議会と合同で要請行動を行ない、広島市長、長崎市長らが日本国政府及び核兵器国(米・露・英・仏・中)大使館を訪問し、NPT再検討会議で、核兵器廃絶に向けた積極的な役割を果たすことを求める各国元首等あての要請書を手渡し、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を訴えました。

2.訪問概要
(1)日本国政府(要望書を見る

 1. 対応者:谷川秀善外務副大臣、小笠原一郎総合外交政策局軍縮不拡散・科学部軍備管理軍縮課長

 2. 対応者発言要旨

  • ・被爆から60年を経ても核を廃絶することは困難な状況だが、自治体も国連でアピールしてほしい。
  • ・核兵器廃絶は、人類の悲願であり、被爆60周年を一つの機会にしたい。
  • ・自治体が積極的に非核の宣言をしてもらいたい。
  • ・機会があれば、被爆者である廿日市市長が国連で核兵器廃絶を訴える場を作ってもいいと思うので、事務方に検討させる。
  • ・外務省としても、軍縮教育に取り組む必要があり、広島・長崎への派遣研修について事務方に検討させたい。
(2)米国大使館(要望書を見る

1. 対応者:米国大使館首席公使(臨時代理大使)マイケル・マハラック(Michael W. Michalak)

2. 対応者発言要旨

  • ・米国はNPT締約国で、IAEAの活動を支持し、NPTの目的達成のために努力しており、その中には、核兵器の廃絶も含まれる。
  • ・米国は、核軍縮に務めており、1万発の核弾頭を削減した。
  • ・一方で、核拡散に注意する必要があり、日本政府とともに核拡散防止に取り組んでいる。
  • ・米国はNPT再検討会議で、保障措置の実効性を高めるため、IAEAの機能強化を図る考えである。
  • ・要請書は本日中に本国政府に送付し、再検討会議における米国政府の行動において考慮したい。
(3)ロシア大使館(要望書を見る

1. 対応者:ロシア大使館参事官(軍縮担当)ゲンナディ・オウェチコ(Gennadii Ovechko)

2. 対応者発言要旨

  • ・要請書はいずれも、早急にモスクワに送付する。
  • ・ロシア政府はこれまでも、NPT体制の堅持に努力している。その基本姿勢は、今後も変わらない。
(4)フランス大使館(要望書を見る

1. 対応者:駐日特命全権大使 ベルナール・ド・モンフェラン(Bernard de Montferand)

2. 対応者発言要旨

  • ・メッセージは真摯に受け止めたい。
  • ・戦後60周年であり、欧州でも記念式典が続いている。人間は痛みの過去を思い出さないものであるが、節目に思い起こすことは大切である。
  • ・自国を守るには、信頼関係を築く必要がある。全ての大量破壊兵器を廃絶する必要がある。秩序だった国際関係をつくるため、国連機関の強化が求められる。
  • ・フランスは、保有国であるが、防衛上必要最小限に押えている。
  • ・一切の核実験を行なわない条約に加盟し、太平洋の実験場も閉鎖している。軍事目的のための核は製造中止するよう動いている。
  • ・要請書は本国に届ける。NPT再検討会議への参考となる。
(5)中国大使館(要望書を見る

1. 対応者:公使 程 永華 チャン・ヨンファ(cheng yong hua)

2. 対応者発言要旨

  • ・要請の主旨は、よく理解している。
  • ・60周年をきっかけに核廃絶問題を考える必要がある。
  • ・中国は、責任ある態度をとっている。
  • ・核のストックは小さい。非核国に対しては使用しない、率先して使わないことを宣言している。
  • ・北朝鮮に対しても、朝鮮半島において核保有は許されないとして解決に努力している。水面上と水面下の両方で努力している。6者協議にも協力していきたい。
(6)英国大使館(要望書を見る

1. 対応者:駐日特命全権大使 グレアム・フライ(Graham H. Fry)

2. 対応者発言要旨

  • ・広島、長崎の希望を理解する。
  • ・英国は今後とも各国に向けて、NPTの順守を呼びかけていく。
  • ・核をどうするのかは、将来の英国政府と英国民が選択する問題だが、英国政府としては、今後とも拡散防止の努力を継続する。
  • ・このたびの要請は、本国政府に伝える。