2022年度/前期
開設大学とシラバス
長崎大学 「平和講座」
On the Peace
友澤 悠季, 森永 玲
友澤 悠季
友澤 悠季, 森永 玲
A科目群 総合科目, 総合科学科目, 自由選択科目
講義
全学生
授業の概要及び位置づけ
長崎大学文教キャンパスは三菱兵器製作所大橋工場の跡地であり、ここでは学徒動員令や女子挺身勤労令などによって動員された多くの若者たちが航空機用魚雷の生産に従事中、原爆によって、その多くが爆死した。敗戦後、日本人は「人間相互の関係を支配する崇高な理想を自覚」し、国家再建の基礎を「人類普遍の原理」に求めて戦争を放棄し、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持しようと決意」した。1983年に始まった本講座は、その決意を受け継ぎ、平和を愛し探究心に富む学生諸君の思索と生活の原点に資すべく、戦争・暴力・平和についての基礎的資料と基本的な分析理論を提供しようとするものである。
授業到達目標
戦争の実態、暴力と平和についての認識を深め、世界の情勢を深く理解し、基本的人権を尊重して自由と平和と平等を愛する文化国家の建設に努める態度を身につけることができる。
知識・技能以外に、この授業を通して身につけて欲しい力
倫理観、多様性の理解、国際・地域社会への関心
学生の思考を活性化させるための授業手法
授業内容の理解度を確認したり自分で考えさせたりする活動
(発問への回答、授業内の小レポート、小テスト、振り返りシート、コメントシート、クリッカーなど)
技能修得のために実践する活動
(問題演習、体験学習、実験、実習、実技、フィールドワークなど)
成績評価の方法・基準等
平常点60%+レポート40%=100%のうち、60%以上を合格とする。平常点は毎回異なる講師が講義を行い、その都度レスポンスシートを課す形式で評価する。(期末試験はありません。)
各回の授業内容・授業方法(学習指導方法)
- 第1回(4/13) イントロダクション(友澤悠季)
- 第2回(4/20) 被爆とその後(山川剛)
- 第3回(4/27) 山口彊と二重被爆(山崎年子・原田小鈴)
- 第4回(5/11) 福田須磨子(1922-1974)の生涯(友澤悠季)
- 第5回(5/18) なぜ長崎に原爆が投下されるに至ったか(冨塚明)
- 第6回(5/25) 核兵器とはなにか・科学者の社会的責任とは(冨塚明)
- 第7回(6/1) ナチス・ドイツのホロコースト(T4作戦)とアイヒマン的暴力(戸田清・友澤悠季)
- 第8回(6/8) 本島等(1922-2014)と戦争責任の問題(森永玲)
- 第9回(6/15) 世界の軍事情勢はいま(篠崎正人)
- 第10回(6/22) 満蒙開拓団と性暴力(国武雅子)
- 第11回(6/29) 日本軍「慰安婦」問題(国武雅子)
- 第12回(7/6) 韓国の歴史教育(昔宣希)
- 第13回(7/13) Q&Aで考える日米安保(冨塚明)
- 第14回(7/20) 継承の回路としての漫画(西岡由香)
- 第15回(7/27) 食品公害・カネミ油症事件の現在(下田順子)
事前、事後学習の内容
授業期間中の任意の日時に、岡まさはる記念長崎平和資料館(月曜休館、JR長崎駅前のNHK長崎放送局横の西坂をのぼり、カトリック26聖人記念館のすぐ先)を訪問してください。そのレポートを提出すれば加点します。なお長崎原爆資料館のレポートも加点になります。【4h】
キーワード
戦争、暴力、構造的暴力、平和、格差、原爆、原発、有事体制、イラク戦争、集団的自衛権
教科書・教材・参考書
教科書は指定しない。プリント資料の配付、スライド、映像の視聴などを活用して、講義の理解を深める。参考書として、戸田清『人はなぜ戦争をするのか』(法律文化社、2019)、高橋眞司・舟越耿一編『ナガサキから平和学する!』(法律文化社、2009)、ヨハン・ガルトゥング・藤田明史編著『ガルトゥング平和学入門』(法律文化社、2003)。
受講要件(履修条件)
とくになし。
アクセシビリティ
長崎大学では、全ての学生が平等に教育を受ける機会を確保するため、修学の妨げとなり得る社会的障壁の除去及び合理的配慮の提供に取り組んでいます。授業における合理的配慮等のサポートについては、担当教員または「アシスト広場」(障がい学生支援室)にご相談下さい。
備考(URL)
戸田清研究室ホームページ http://todakiyosi.web.fc2.com/
学生へのメッセージ
被爆地の大学に学ぶ学生として、書籍、新聞、テレビ、インターネットなどを通じて戦争、暴力、平和をめぐる世界と日本の動向に関心をもってほしい。
実務経験のある教員による授業科目であるか(Y/N)
Y
実務家教員名/実務経験内容/実務経験に基づく教育内容(実務経験のある教員による授業科目のみ使用)
山川 剛 氏:8歳で被爆後、小学校教員として勤める。長崎平和推進協議会、長崎証言の会、長崎被爆教職員の会の会員として、1998年以来、被爆体験講話等を行ってきた経験を有する。
森永 玲 氏:長崎新聞社報道部を経て同社取締役。長崎の平和運動に関する取材経験と複数の編著書がある。
西岡 由香 氏:漫画家。「さらん」のペンネームも持つ。1999年に平和団体ピースボート主催による地球一周クルーズへの参加をきっかけに、郷土史(キリスト教関係など)と長崎原爆をテーマにした漫画を数多く執筆している。