2011年度
開設大学とシラバス
熊本大学 現代世界の形成と課題C (核兵器と人類)
現代世界の形成と課題C (核兵器と人類)
教養科目
三澤 純
前期
金 3限
1年
5822133102
2
02552
選択
講義
授業目標
この授業が関わる21世紀目標:A、D
この授業の到達目標:
- 原爆の開発過程を説明できる。
- 原爆の開発と第二次世界大戦中の国際政治との関連性を説明できる。
- 原爆投下地点の選定理由及び「原爆神話」の形成過程を説明できる。
授業内容
2009年4月、バラク・オバマ米大統領は「核無き世界」に向けての努力の必要性を、現役の米大統領として初めて表明し(「プラハ演説」)、世界の市民に感動を与えました。また2010年5月、核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、全会一致で最終文書を採択し、「核無き世界」への重要な一歩を踏み出すこととなりました。
しかし2010年10月、オバマ政権下のアメリカが核兵器の未臨界実験を行ったり、同年12月、イギリスのバラエティー番組が、広島と長崎とで「二重被爆」した山口彊さん(同年没)を、「世界一運が悪い男」として笑い飛ばしたりするなど、「核無き世界」の実現に水を差し、足を引っ張る動きも一向になくなりません。
そもそも広島・長崎への原爆投下からすでに66年が経過し、しかも核廃絶の世論が地球規模の広がりを見せているにもかかわらず、なぜ今日の地球上には、人類をいくたびも絶滅させうる大量の核兵器が存在しているのでしょうか?この授業では、核開発と核被害の歴史を振り返りながら、核兵器と「共存」させられている人類社会の危険性を浮き彫りにし、核兵器廃絶の確かな道筋を探ることを目的とします。
- ガイダンスと予備知識調査
- 核分裂発見の人類史的意味
- 物理学者たちの苦悩と責任
- イギリスからアメリカへ
- マンハッタン計画の展開
- アメリカと日本の「人体実験」
- 原爆神話について
- 原爆対日投下策の決定過程その1
- 原爆対日投下策の決定過程その2
- アメリカの対ソ戦略と原爆
- 原爆投下目標都市の選定
- 原爆投下
- ヒロシマ以前、ヒロシマ以後
- 映画「二重被爆」(2006年)を見る
- まとめ―「核無き世界」への道―
※2011年2月、本講は、(財)広島平和文化センターにより、「広島・長崎講座」に認定されました。これにより、熊本大学は、世界で47番目、日本国内で31番目の「広島・長崎講座」開講大学となりました。
キーワード
核開発、原爆外交、原爆神話、原爆被害、「黒い雨」、二重被爆、核拡散、プラハ演説、NPT再検討会議
テキスト
なし。毎回、レジュメと資料プリントを配布する。
参考文献
西島有厚 『原爆はなぜ投下されたか』(青木書店、1968年)
荒井信一 『原爆投下への道』(東京大学出版会、1985年)
吉田守男 『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』(朝日文庫、2002年)
こうの史代 『夕凪の街 桜の国』(双葉社、2004年)山口彊『ヒロシマ・ナガサキ二重被爆』(朝日文庫、2009年)
評価方法・基準
学期末試験(70%)・随時の小レポート(20%)・出席状況(10%)の3つをもとに、総合的に評価します。
特に学期末試験と小レポートとで、「この授業の到達目標」の達成度(=講義内容の理解度)を判断します。
事前学習
最初の講義までに、必ず「終末時計」について調べて来て下さい。