開設大学とシラバス

恵泉女学園大学 ヒロシマ・ナガサキ学

1 年度

2021年度

2 科目名

ヒロシマ・ナガサキ学

3 担当教員

安田 和也

4 開講学期

秋学期

5 配当年次

1年

授業題目

原水爆の開発と被爆被害、核と人間、核廃絶への展望

授業概要・目的/到達目標

[授業概要・目的]

核兵器の存在は地球規模の問題です。コロナウィルスの感染拡大や気候変動、貧困や格差の拡大など人類が解決しなければならないテーマの一つです。核や環境などと聞いても日々の暮らしからは遠く感じられますが、40年前には国民の300人に一人が被爆者で、近いところに体験者がいらしたのです。人類規模の重要な問題として、被爆体験を持つ日本にいる私たちの課題として学び取り組むことは、核の問題が深刻なだけに大切なことです。
核兵器がどのように作られ、広島・長崎への原爆投下、20万人余の命を奪った惨劇をとおして、核が人間になにをもたらせたのかを学び、考察します。被爆の苦しみと核に立ち向かってきた被爆者の生き方から学び、さらに第二次世界大戦後の核開発で世界に広げられた被爆の被害を学びます。
こうした被爆体験者は自ら立ち上がり、核なき世界を目指す市民、核を持たない国と協力して、核兵器禁止条約という国際法として今年1月に発効しました。もちろん自動的に核兵器がなくなるわけではありませんが、新たな段階が始まったといえます。こうした被爆者の献身、国際社会の動向などをとおして、核なき世界への可能性を具体的に考えます。
授業では、原爆による破壊、核実験などの映像資料を視聴し、被爆者の体験を聞き、核実験被害の博物館・第五福竜 丸展示館でのフィールドワークなどを通じて問題意識の共有、理解の促進をはかります。

[到達目標]

◇広島・長崎の原爆や放射線被ばくについて理解し説明できる。
◇核なき世界への実現に関して自らの意見を述べることができる。
◇核問題を起点にして国際社会が抱える諸問題に関心を向け、主体的にかかわることができる。

身に着く力

知識力,理解力,情報収集力,情報分析力,情報統合力,主体的実行力,共感力,伝える力

毎回の授業

[15回分の授業計画]

  • 授業概要・目的のガイダンスと原爆問題の基礎知識に関するアンケート実施。
  • 原爆の開発~核分裂の発見。
  • 原子爆弾の完成への道のり。
  • 原爆投下をめぐる国際情勢~原爆投下は戦争を終わらせたのか。
  • 原爆使用と破壊~1発で一つの都市を壊滅させる。
  • 放射線による被害。
  • 被爆者の証言①。
  • 被爆者の証言②。
  • 被爆者の戦後~世界中の誰にも被爆被害を繰り返させない。
  • 原水爆に反対する市民のうごき。
  • 戦後の核開発~いまも世界に1万4千発の核がある。
  • 第五福竜丸展示館フィールドワーク①福竜丸の被爆。
  • フィールドワーク②世界の核被害~風下住民、先住民、兵士などの被害。
  • フィールドワーク③福竜丸被害者に寄せられた手紙・ワークショップ。
  • まとめと意見発表~平和な世界を構築するために一人ひとりができることを考える。

[授業形態]
授業は対面、オンラインのどちらにしても、毎回動画やパワーポイントによるスライドなどで原爆被害や核開発などを具体的にイメージする授業とします。体験者(原爆被爆者や核実験被害者)の証言を聞き、水爆実験に被災した第五福竜丸の展示館にてフィールドワークをおこないます。核被害への市民の激励や被害者家族の心情、社会的差別などにふれ、追体験します。リアクションペーパーによる質疑や感想の共有化をはかります。レポート課題を2回出します。
なお、被爆者の証言については、オンラインの場合は映像で、対面授業の場合は直接教室に来ていただき、お話を伺います。
レポートについてのフィードバックは、提出直後に各自にメールにて講評を送ります。

[事前・事後の学習内容]
対面授業の場合は、原爆被害と戦後核実験被害に関するテキスト2冊(ブックレット)を使用する。事前・事後の学習のために、テキストでの学習およびレジメでの事後学習を奨励する。オンライン授業の場合は、テキストは使わず、レジメとパワーポイントのPDF版を資料として配布する。事後学習をすすめることとします。

成績評価方法

◇レポート課題  ①被爆者の体験・証言から原爆被害を考察する。②フィールドワークの内容から、戦後核被害と核なき世界を考察します。2回のレポート提出80%、リアクションペーパー20%で総合評価します。

テキスト

対面授業の場合は『ヒロシマ・ノート』と『フィールドワーク第五福竜丸展示館』を授業時に頒布する。 オンラインの場合はテキストは用いない。

参考文献

『1945年8月6日』伊東壮著(岩波書店)
『ナガサキー1945年8月9日』(岩波書店)
『ビキニ事件の表と裏』大石又七(かもがわ出版) 

授業科目における実務経験

講師は都立第五福竜丸展示館にて学芸員業務にあたっています。原爆や戦後核実験被害の研究をはじめ、博物館資料の収集や研究に基づいて、事実を伝える教育活動に従事したり、展示物作成やイベント企画などを手掛けます。授業の内容に即してこうした経験から「伝える力」「企画力」「構想力」など具体的に学ぶ機会をつくります。

履修する上での必要な要件

核や戦争の被害・犠牲を知り学ぶことはつらいことでもあるが、現在につながる歴史であり、いま生きている世界に関心を抱き、興味と好奇心の幅を広げて積極的に授業に参加してほしい。

リンク

恵泉女学園大学
http://www.keisen.ac.jp/

トップへ戻る

PAGETOPへ