開設大学とシラバス

広島文教女子大学 日本とヒロシマの歴史

1 年度

2016年度

2 科目名

日本とヒロシマの歴史

3 代表教員名

沼田 有史

4 配当年次

3

5 単位数

2

6 開始学期

前期

7 曜日・時限

木曜2限

授業のねらいと概要

私たちは過去を土台として現在に生き、未来を創造しています。人は生まれた時代、国や地域、性別、家族でさえ自ら望んだものではありません。ましてや現在、生活している社会の風習や規則、システムなど、様々な枠組みのなかで制約ある人生を送らざるを得ません。

歴史は、過去の人々もこうした様々な状況のなかで、時には絶望し、悲しみ、でも希望を捨てず努力し、少しずつ工夫をこらしながら、この世界を築きあげてきたことを教えてくれます。こうしたことを切実に感じることにより、私たちはそこから「いま・ここ」に生きていることの素晴らしさや難しさを痛感するとともに、自らが生きていくうえでの糧をみいだすのです。

本講義では、古代から被爆、その後の平和都市建設にいたるまでの広島の歴史を紐解き、自らの人生を省みる契機として新たな人生に踏み出そうとする意欲をかきたてるものとします。

双方向性確立の方法

授業内でディスカッションの時間を設けるとともに、メッセージカードにより質問等を受ける。

授業計画

  • テーマ ガイダンス
    キーワード 広島城、日清戦争、被爆、国際平和文化都市 
    内容 今は歴史(過去)を担っている。今私たちが生活している広島の歴史を一緒に俯瞰してみよう。
    事前学修 広島で過去にあったこと、昔の広島の生活を調べる。(2時間)
    事後学修 広島の歴史の流れを整理し、全体像をまとめる。(2時間)
  • テーマ 可部の町の歴史
    キーワード 山繭織り、舟運、松本清張
    内容 私たちの学んでいる土地にも歴史があり、現在があることを意識しよう。
    事前学修 山繭織りの糸は何からできているか。可部の町に残る旧家と山繭織りの関係を調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料を読んで、自分の視線で可部の歴史をまとめる。(2時間)
  • テーマ 広島城が築城される以前の広島
    キーワード 比治山貝塚、中小田古墳群、山陽道
    内容 広島城が築城される以前も人々の生活があった。その痕跡をとらえて現在の生活と共通する点があることに気づく。
    事前学修 可部の町にある古代の遺跡跡を調べ、そこから見える特性を考える。(2時間)
    事後学修 当時の旅人がどのようなルートを通っていたか調べ、地図で確認する。(2時間)
  • テーマ 広島城築城とその後
    キーワード 毛利輝元、福島正則、浅野長晟
    内容 何故、太田川の中洲に城を建てたか。戦国時代の流れから広島を読み解く。
    事前学修 広島城について事前知識を学習する。(2時間)
    事後学修 今の広島の街に残っている広島城の痕跡をまとめる。(2時間)
  • テーマ 近世以降の生活(1)-牡蠣海苔養殖、西国街道
    キーワード 干拓、牡蠣や海苔の養殖、西国街道
    内容 広島市街地がどのように形成されてきたか、海と広島の結びつきをみる。またそこでおこなわれた牡蠣や海苔養殖の変遷を知る。
    事前学修 広島の牡蠣や海苔養殖について、現在の状況を調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料をもとに地形と人間の生活の関係性についてまとめる。(2時間)
  • テーマ 近世以降の生活(2)-広島から世界へ
    キーワード 対馬、向洋、宮本常一、ハワイ移民
    内容 対馬に渡った広島人を知ることにより、当時の生活を顧みると同時に、現在の広島に繋がっていることを確認する。
    事前学修 近世、近代、広島に暮らしていた人々の生業を調べる。(2時間)
    事後学修 移民の生活実態について調べることにより、当時の広島の生活実態に迫る。(2時間)
  • テーマ 近代都市への歩み
    キーワード 第5師団、千田貞暁、山陽鉄道
    内容 近代的な港と鉄道が整備されていく近代都市としての広島の形成過程を追う。
    事前学修 広島市南区宇品の干拓について事前に調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料から現在残っている当時の様子がわかる個所を確認する。(2時間)
  • テーマ 日清戦争
    キーワード 広島大本営、臨時帝国議会、日清戦争凱旋碑
    内容 広島は日清戦争において兵站基地としての機能を有し、臨時帝国議会が開かれるなど繁栄を極めた。
    事前学修 広島における臨時帝国議会がどこでおこなわれたか。現在、説明版が設置されているので調べて確認する。(2時間)
    事後学修 宇品平和塔(日清戦争凱旋碑)についてまとめる。(2時間)
  • テーマ 兵站基地としての広島
    キーワード 陸軍糧秣支廠、陸軍兵器支廠、陸軍被服支廠
    内容 広島には後方支援基地として多くの軍事施設が造られ、全国から兵隊や物資が広島に集まり、宇品港から戦地に向かった実態を理解する。
    事前学修 広島城にあった第5師団司令部について、今までの授業も含めて調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料により今も残る軍事施設跡を確認する。(2時間)
  • テーマ 太平洋戦争と原子爆弾投下
    キーワード マンハッタン計画、ポツダム宣言、エノラゲイ
    内容 日本は太平洋戦争に突入、アメリカはマンハッタン計画により原子爆弾を製造し広島へ投下する。こうした流れを学ぶ。
    事前学修 太平洋戦争が始まったころの広島の様子を調べる。(2時間)
    事後学修 個人からみた戦争と国家としての戦争を考え、新しく知ったことをまとめる。(2時間)
  • テーマ 広島の被爆被害
    キーワード 佐々木禎子さんの折鶴、折免滋さんの弁当箱
    内容 広島への原爆投下の経緯と被害の実情を理解し、被爆者とその家族などの苦悩に接する。
    事前学修 原爆の被害状況について調べておく。(2時間)
    事後学修 授業以外の資料により、ひとり一人の被爆者の体験記を読む。(2時間)
  • テーマ 戦後復興
    キーワード 広島平和記念都市建設法、平和記念公園、イサム・ノグチ
    内容 戦後の復興時のさまざまな人々の苦難と努力を知る。また平和記念公園建設にともなうイサム・ノグチの立場から当時の世相を顧みる。
    事前学修 平和公園にどのような碑があるか調べる。(2時間)
    事後学修 平和公園とイサム・ノグチの関係についてまとめる。(2時間)
  • テーマ 今も残る被爆の痕跡
    キーワード 広島県産業奨励館、中国軍管区司令部防空作戦室
    内容 現在も残っている被爆の痕跡から多角的に原爆被害の実相を知る。
    事前学修 広島県産業奨励館について調べる。(2時間)
    事後学修 授業以外の被爆の痕跡をまとめる。(2時間)
  • テーマ 平和への歩み
    キーワード 平和記念式典、平和市長会議、核不拡散条約(NPT)
    内容 平和記念式典の歩みを紐解くことにより、現在行われている様々な平和への取り組みを理解する。
    事前学修 平和への取り組みとしてどのような活動があるか調べる。(2時間) 事後学修 平和関連行事をまとめる。(2時間)
  • テーマ 持続する歴史
    キーワード 表象の不可能性、記憶の風化、保存と継承
    内容 14回までの授業を振り返り、歴史を理解する時、一方向から見てしまう危険性や、時点で切り取ることのできない持続性(時間)の問題があることを確認する。
    事前学修 自分なりに広島の歴史を整理する。(2時間)
    事後学修 広島の歴史から自分が教えられたことを文書によりまとめる。(2時間)

期末試験 実施する(講義中に出てきた基礎知識の確認と小論文) 

到達目標

① 古代から現在まで、どのような歴史の流れの上に今の広島(私)があるか、説明できる。
② 近代都市としての広島の歴史は相反する面をもっていることを理解できる。 
③ 歴史の持続性を理解し、歴史から学んだことをこれからの広島(私)に活かそうとする意欲が見える。

成績評価方法

授業への参加度(40%)、レポート・リアクションカード(30%)、試験(30%) 

成績評価基準
達成目標①~③について、一定水準以上であると確認できる場合:S
達成目標①~③について、一定水準に達していると確認できる場合:A
達成目標①②を中心に、一定水準に達していると確認できる場合:B
達成目標①~③について、望ましい水準ではないが評価はできると確認できる場合:C
授業への参加の度合いが十分でなく、到達目標に達しておらず、評価できる条件を満たしていないと確認できる場合:D

テキスト

適宜資料を配布する。必要に応じてパワーポイント、映像を使用する。詳しい参考図書はその都度、授業で指示する。 

その他教材

角重始「中世地域経済の発展と広島湾頭」、三好康之「中国山地が育む広島の特産品」広島文教大学人間科学研究所『陰陽路の歴史と風景』渓水社 2001

岸田裕之編『広島県の歴史』山川出版社 1999

原田敬一『日清・日露戦争』岩波新書 2007

リンク

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