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国際基督教大学の広島現地学習とその感想

1.現地学習

アメリカに本部を持つロータリー財団により世界各国で選抜され、国際基督教大学の修士課程で学んでいる留学生一行9名が、 3月4日(水)から3月6日(金)までの間、広島で現地学習を実施しました。この授業は2003年から開設されており、今回が7回目の実施となります。

一行は、平和記念資料館の訪問や、被爆体験者の証言の聴講、平和研究所の教授との意見交換を通して被爆の実相について理解を深めました。

広島平和記念資料館の見学

広島平和記念資料館の見学

原爆死没者慰霊碑前にて

原爆死没者慰霊碑前にて

リーパー理事長との記念撮影

リーパー理事長との記念撮影

被爆体験者の証言の聴講

被爆体験者の証言の聴講

広島平和研究所での意見交換

広島平和研究所での意見交換

2.現地学習後の感想

国際基督教大学が実施したアンケート結果が届きました。その中から下記の項目について述べた感想を掲載します。

(1) 広島平和記念資料館について

  • 資料館は多くの情報を提供できるようできているのですが、時間の関係で、十分な閲覧ができなかった事が残念でありません。最低半日は欲しかったとおもいます。
  • 「開かれた扉」の陰に、今なお秘められた痛みや苦しみに目を開かされた、ということに尽きます。
  • 資料館の見学には1時間半から2時間くらいかけたほうが良いと思います。他の参加者とは違う意見かもしれませんが、個人的好みとしては、 ガイドなしの見学のほうが自分の本当に関心のある部分に時間をかけて詳細に見学できると思います。音声ガイドはいい考えです。
  • 資料館の情報はすべて素晴らしいものでしたが、急ぎ足のツアーでした。あと30分か1時間長ければ、より多くを見学し、学ぶことができたと思います。
  • 非常に印象的でした。

(2) 被爆体験証言について

  • とても貴重な経験をする事ができたと思います。このような経験は将来できなくなるものなので、今のうちにできるだけ多くの人に機会を与えるべきだと思います。 言葉の問題も出てくるとは思いますが、このような機会は将来も行っていくべきです。
  • 松島氏は巧みに友達に語るような調子で体験を私たちに語ってくれました。当時の反米感情や、 少年時代に戦争を冒険のように感じていたことを率直に述べていただいたこと、被爆当時また被爆後の生活や目撃したことを表現する明快さと感性に敬服いたしました。 また、広島の社会自体が負傷した被爆者をどのように差別したのかについて率直に語ってくださったことに感謝申し上げます。
  • 被爆者の体験の証言は非常に素晴らしいものでした。想像していたよりも非常に陽気な方でした。松島氏の証言と、 ロータリーの夕食会での被爆証言が対照的だったことも良かったと思います。

(3) 広島平和研究所での意見交換について

  • 数少ない学術的な意見交換ができた貴重な時間だったと思います。最も興味深い点は、研究者の一人から「学生の視点から見る、 平和研究とはなんですか?」という質問です。これは、すごく重要な問いかけで、研究科を構築していく上で、 これからICUのロータリープログラムが何らかの形で明確化していかなければいけない課題ではないでしょうか?これが対話の中で出てきたのも収穫の 一部であると思います。
  • 良かったと思いますが、研究者の方々が、「平和」の非常に基本的な概念についても混乱を生じたため、 重要な平和の必要性を扱う準備があまりできてないように思いました。
  • 現地学習に必須です。平和研究所の研究者の準公式な形式での研究発表と平和主義、平和研究、平和運動の意味に関する討論の両方の機会を得たことに深く感謝します。 全体の中で、韓国出身の社会学者キム先生との意見交換が印象的でした。
  • 非常に素晴らしかったです。考えさせられる討議でした。
  • 初日と2日目の前半は、平和問題の中でも主に核問題に焦点を当てていましたが、広島平和研究所の研究者の方々から、 例えば、人間開発の概念(経済、保健、教育)等のより幅広いトピックに関する平和の識見を多く得ました。 より広い分野での研究の成果が世界平和に貢献することが期待できるからです。

(4) 現地学習後のヒロシマに対する視点の変化について

  • 一つ聞く事ができなかったのは、広島と長崎のその歴史に対する情報発信の仕方の違いです。 原爆の経験というと広島が全面的に出てくるのですが、長崎は同じだけ注目を受けているようには思えません。 それがなぜなのか、広島平和研究所の方に聞きたかったのですが、結局できませんでした。
  • 私は核兵器保有国であるパキスタン出身です。アメリカの核の虐殺によってヒロシマが被った本当の痛みと苦しみを知りたいと熱望する気持ちは変わりません。 私たちの世代の将来がヒロシマの悲劇を繰り返さないよう、私は核不拡散と軍縮の分野で働いています。母国でも、また日本でも、多くの人に出会いましたが、 皆様に申し上げるのは恐縮ですが、皆、「ヒロシマの苦しみ」を自分の職業的キャリアのためのビジネスにしていました。 人類を救うためという偽りの大義のもとに捉われて、自分の責務が見えなくなりつつありました。広島を訪れてから、本当の苦しみを伴う根源的痛みに気づき、 それを感じました。このことが正しいことと間違っていることの違いを教えてくれました。広島の人々がビジネスにすることなく世界に平和をもたらそうと 献身していることがうれしいです。将来にわたって広島の人々が同じ精神を持ち続け、私と同じような人々を「人間の尊厳」のために働くよう導かれることを願っています。
  • 核兵器は非常に恐ろしいです。核兵器の生産や拡散に反対する声を強くあげたいと思います。
  • 以前より、活気に満ちた広島と市民の親切さに目を向けるようになりました。ロータリー関係者との会話を通して、彼らの個性と価値観の強さを感じ、 影響を受けました。今回の現地学習で、単にキノコ雲の写真や死者の人数を示してヒロシマ・ナガサキに大変なことが起こったことを垣間見るだけの小学校 の教科書を超えた視点を提供してくれました。この現地学習を通して、人類史上最も痛ましく重大な瞬間の一つとのつながりができました。被爆者の方 々とお話しして、戦争がいかに個人にかかわる現実であるかに気づきました。そして現在の広島を見ることで、闇の先には常に、生きるべきよりよい世界 を建設する可能性と責任があることに気づきました。
  • 以前広島を訪れたことはありますが、今回の現地学習を通して、以前は経験しなかった二つの視点を得ました。 被爆者の体験を通じた原爆に対する個人的側面と、今日まで続いている多くの平和活動です。この両方が、広島の過去と現在を結びつける上で重要です。
  • 平和記念資料館を初日に訪れた後は、広島で起こった別の出来事のように感じていました。 しかし、より長い時間を過ごした二日目になると、核が人間の生活にもたらすとてつもない影響を感じ始めました。 特に、被爆証言を聞いているとき、被爆者から直接体験を聴ける機会を持つこの世代である自分がいかに幸運かに気づきました。 このことに深く強く感銘を受け、以前は自分の関心分野である人間開発の問題に集中していましたが、核問題にも関心を持つようになりました。 概して、非常に印象的な現地学習であり、他の機関の奨学生や代表の方々も私たちと同様に広島を訪れる機会があればよいと思います。 現地学習は人生の多様な側面を扱って構成されていますので、参加者が平和とは何かについて深く理解できると強く確信しております。

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