広島・長崎講座

【本科目を学ぶ意義】
・現代の科学技術は，人々の身近な生活から，経済・政治・文化など，社会の様々な側面に大きな影響を与えています。その結果，新たな社会問題が発生する場合もあります。そして，現代の技術者は，仕事をしていく中で「科学技術が関わる社会問題」に対応しなければならない場合があります。
・科学技術が関わる社会問題にはどのようなものがあるのか？　そのような社会問題の原因は何か？　科学技術が関わる社会問題の解決に技術者はどのように貢献できるのか？　本科目は，こうしたことを考えたい人におすすめです。
・また，これからの社会で活躍する技術者には，コミュニケーション力などの対人スキルが強く要求されています。グループワークを重視する本科目は，そうした対人スキルを高めたい人にもおすすめです。

【本科目の目的】
・科学技術が関わる現代の社会問題について学びます。今年度は，核兵器問題を事例として取り上げ，学期を通して詳しく議論します。
・それにより「科学技術と人間・社会との関わり」を理解し，「科学技術者として，また良識ある社会人として必要な教養，キャリア意識，倫理観」を身につけることを目指します。
・グループディスカッションを行い，コミュニケーション力などの対人スキルを高めます。

【授業形態】講義

1. 科学技術が関わる現代の社会問題（主に核兵器問題）を題材として「科学技術と人間・社会との関わり」を多面的に理解し，それをもとに科学技術のあり方や科学者・技術者の生き方について考えを深め,表現することができる。
2. 他者の意見に応答する形で，議論を深めるためのグループ討論やレポート執筆を行うことができる。

科学と技術の社会史

なし

なし

討論と執筆に関する参考書：
[1]アレキシス・ウィギンズ（吉田新一郎訳）『最高の授業——スパイダー討論が教室を変える』（新評論，2018年）
[2]G. Graff & C. Birkenstein，They Say / I Say，4th ed. (W. W. Norton, 2018)
＊その他の参考書は，WebClassなどで紹介します。
＊[1][2]は本学図書館で閲覧可。

・上記2つの達成目標を成績評価の観点とします。達成目標1と2をそれぞれ大体50%の重みで成績評価に反映させます。
・成績評価のために用いる成果物は，中間レポート，期末レポート，各回ディスカッションレポート（全11回を予定）の3つです。成績評価に反映させる際の割合は次のとおり。
　　中間レポート：期末レポート：ディスカッションレポート＝3：3：4
＊中間レポートと期末レポートは，それぞれ第7回と第14回の授業中に執筆し，各授業翌日の18:00までにWebClassでWordファイルをアップロードしてもらいます。各回のディスカッションレポートは，第7回授業で前半5回分を，第14回授業で後半6回分を提出してもらいます。ディスカッションレポートは，提出時まで紛失しないよう各自で大切に保管しておいてください。

参考：2019年度前期成績分布(3クラス合計，放棄を除く受講者180名):
S=4%, A=34%, B=49%, C=11%, D=2%

(B)技術者倫理を修得する。

【工学部、未来科学部、システムデザイン工学部】DP4

・教員から提供された資料（WebClassにも掲載）や自分で探した参考文献などを利用して予習・復習を行う。
・レポート作成の準備（テーマ設定，情報収集，構想メモ作成など）を行う。

【授業の三本柱】
・講義のテーマに関して理解を深め，充実した議論ができるよう，「講義」「グループ討論」「レポート執筆」を授業の三本柱とし，それらを相互に関連させながら進めていきます。これにより能動的な学習が可能となります。

【WebClass】
・WebClass で授業関係の参考資料（授業での配布資料を含む）や情報を提供・共有します。定期的に（週に最低1回）はチェックしてください。

【アクティブラーニング】
・ほぼ毎回の授業でのグループディスカッション。

【ICTの活用】
・WebClassを用いた教材や情報の提供・共有とレポートの提出。

【反転学習】
・第13回授業で，事前に各自で今学期全体の復習を行っておき，授業中に振り返りのディスカッションを行う。

• ガイダンス
  ・シラバスの読解と教員の解説をもとに，本科目の目的・達成目標，テーマ・内容，学習の進め方，成績評価方法などについて理解を深める。
  
  【事前学習】シラバスを丁寧に読み，その内容を理解する。また，よく理解できないところを明確にする。（30分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 原爆構想の始まり
  ウランの核分裂発見以降，原子爆弾製造の可能性を思いついた科学者たちの考えと行動，ならびにその時代背景について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• マンハッタン計画
  マンハッタン計画，特にそれに関わった科学者たちの考えと行動，ならびに機密保持をめぐる科学者と軍人・政治家との対立について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 原爆使用をめぐる科学者の議論
  マンハッタン計画に従事した科学者たちが，原爆使用にともなう政治的・社会的問題に関してどのように考え，行動したかについて。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 原爆投下決定と外交
  第二次世界大戦末期にアメリカの政治指導者は日本に対する原爆使用についてどのように考え，行動したかについて。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 原爆による被害
  広島・長崎に投下された原爆による被害，特に人間に対する物理的・社会的被害について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 中間レポート作成
  ・中間レポートを執筆する。レポートのテーマは，第2回から第6回の講義内容に関連するもので，本科目の達成目標1を実現するようなもの。
  
  ★中間レポートのWebClassへの提出期限：第7回授業実施日の翌日18:00（厳守）
  ★ディスカッションレポート（第2〜6回の計5回分）：第7回授業で提出
  
  【事前学習】（120分）
  ・これまでの講義やディスカッションレポートを復習する。
  ・テーマ設定，情報収集，構想メモ作成などの準備をしておく。ラフな草稿を作成しておいてもよい。
  【事後学習】（120分）
  ・中間レポートを完成させる。
  
• 原爆被害情報のコントロール
  原爆被害の情報が日米政府によっていかに収集され，利用されたか，それが被爆者の治療や援護とどのような関係をもったかについて。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 冷戦下の核実験と新たな被ばく者
  冷戦下に続けられた核実験とそれによって生じた新たな被ばく者（核実験参加兵士，核実験場周辺住民，人体実験被験者）について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• アメリカ人の原爆観
  アメリカ人の原爆観とその背景および変化について（スミソニアン原爆展論争ほか）。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 科学者による核兵器反対運動
  第二次大戦後，核兵器に反対した科学者（ロートブラットと湯川秀樹）について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 核の拡散と国際管理
  第二次大戦後の核兵器の拡散，およびそれを防ぐための国際管理体制（核不拡散条約など）について。
  
  【事前学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して予習を行う。（120分）
  【事後学習】配布資料，WebClass，参考文献などを利用して復習を行う。（120分）
• 振り返り
  ・グループ討論などにより，今学期の自分たちの学び全体を振り返る。
  
  【事前学習】これまでのディスカッションレポート，中間レポート，期末レポートを読み返し，自らの学びの過程と成果を確認する。（180分）
  【事後学習】今回のディスカッションレポートに加筆しつつ，今回の振り返りをさらに深める。（60分）
• 期末レポート作成
  ・期末レポートを執筆する。レポートのテーマは，第8回から第12回の講義内容に関連するものか，または核兵器問題以外の「科学技術が関わる現代の社会問題」に関連するもので，本科目の達成目標1を実現するようなもの。
  
  ★期末レポートのWebClassへの提出期限：第14回授業実施日の翌日18:00（厳守）
  ★ディスカッションレポート（第8〜13回の計6回分）：第14回授業で提出
  
  【事前学習】（120分）
  ・これまでの講義やディスカッションレポートを復習する。
  ・テーマ設定，情報収集，構想メモ作成などの準備をしておく。ラフな草稿を作成しておいてもよい。
  【事後学習】期末レポートを完成させる。（120分）

授業中や授業後のほか，オフィスアワーで対応します。また，電子メールでも受け付けます。 オフィスアワー：金曜日14:00〜15:00（４号館９階40913A）　　

人間科学科目は、各クラス定員が設けられています。定員を超える申請が あった場合は優先順位に従い、抽選を行います。

定員・優先順位はホームページの「履修の手引き」にある、 各学部の「人間科学科目の履修に関する注意事項」を確認してください。

また、1年次の学生が履修できる時限は以下のとおりです。
　月曜2限：EJ、EH、ES、FA、FI、FR
　金曜2限：EK、EF、EC、AJ、AD
指定された時間帯以外の科目は履修できませんので、注意してください。　

・第2回授業で班分けを行います。
・やむを得ない事情で欠席する場合は，第3回授業までに教員にメールで連絡してください。教員から班分け結果について連絡します。　

【重要な注意事項（必ず読んでください）】
・「この科目の単位を落とすと卒業（進級）できなくなる」等という理由での成績評価に関わる特別扱いは一切行いません。
・剽窃（盗作）は絶対にしてはいけません。提出物に剽窃（「意図しない剽窃」を含む）が見られた場合は，本科目成績の減点または単位没収となることがあります。剽窃について理解が不十分だと思う人は次のサイトを参考にしてください。
赤江雄一「剽窃について」(YouTube，9分)https://youtu.be/IxM1e4W1S8I
慶応義塾大学日吉メディアセンター「引用について理解する」http://project.lib.keio.ac.jp/kitie/cite/basics/index.html
自分が書いた提出物に「意図しない剽窃」があるのではないかと心配なときは，提出前に遠慮なく教員まで相談してください。