開設大学とシラバス

熊本大学 核兵器と人類

1 年度

2016年度

2 科目名

核兵器と人類

3 担当教員

三澤 純

4 開講年次

1年生

5 学期

前期

6 単位数

2単位

7 曜日・時限

金曜 3限

8 授業の形態

講義

9 授業の方法

対面授業

学修成果とその割合

  • 豊かな教養
    25 %
  • 確かな専門性
    10 %
  • 創造的な知性
    10 %
  • 社会的な実践力
    5 %
  • グローバルな視野
    30 %
  • 情報通信技術の活用力
    0 %
  • 汎用的な知力
    20 %

授業の目的

「原爆」問題の現代的意義を踏まえて、20世紀の歴史を語ることができるようになることを目指している。

授業の概要

2013年10月、日本政府は国連総会で核兵器問題に関わる二つの声明に賛同しました。一つ目は「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」(ニュージーランドが提案)、二つ目は「核兵器の人道的影響に関する共同声明」(オーストラリアが提案)です。前者は「核兵器不使用を保証する唯一の方法はその廃絶」であると訴えた者であり、後者は「核兵器の使用に関して、安全保障と人道の両側面を考慮すべき」と主張したものです。前者にはアメリカの「核の傘」に批判的な125ヶ国が、後者にはこれに寛容な17ヶ国が賛同し、両方に賛同した国は日本だけでした。このような日本政府の二面的な態度は、国際社会に受け入れられるものでしょうか?そもそも広島・長崎への原爆投下からすでに70年が経過しようとし、しかも核廃絶の世論が地球規模の広がりを見せているにもかかわらず、なぜ今日の地球上には、人類を幾たびも絶滅させうる大量の核兵器が存在しているのでしょうか?本講義では、核開発と核被害の歴史を振り返りながら、核兵器と「共存」させられている人類社会の危険性について考えることを目的とします。 期末試験 実施する(講義中に出てきた基礎知識の確認と小論文) 

2011年2月、本講は、(財)広島平和文化センターにより、「広島・長崎講座」に認定されました。これにより、熊本大学は、世界で47番目、日本国内で31番目の「広島・長崎講座」開講大学となりました。第1回目の講義までに、「終末時計」について調べてきてください(もし受講希望者が100名を超えた場合、その結果を選抜の重要な判断基準とします)。

到達目標

  • 原爆の開発過程を説明できる。
  • 原爆の開発と第二次世界大戦中の国際政治との関連性を説明できる。
  • 原爆投下地点の選定理由及び「原爆神話」の形成過程を説明できる。

評価方法

基準
学期末試験(80%)と開講期間中に課す2回のレポート(20%)の2つをもとに、総合的に評価します。

各回の授業内容と事前・事後学習

  • ガイダンス
    ガイダンスを行い、予備知識調査を実施する。事前に「終末時計」について調べてくること。
  • 核分裂発見の人類史的意味
    核分裂現象発見の歴史的意味について考える。
  • 物理学者たちの苦悩と責任
    核分裂現象発見に関わった物理学者たちの苦悩に触れるとともに、彼らの責任についても考える。
  • イギリスからアメリカへ
    核兵器開発の最前線が、イギリスからアメリカへ移ったことの歴史的意味を考える。
  • マンハッタン計画の展開
    マンハッタン計画の展開過程を詳述する。
  • 「人体実験」という視角
    「人体実験」という視角から原爆開発過程と原爆投下とを見通す。
  • 原爆神話考
    今日でも生き続ける「原爆神話」について考察する。
  • 原爆対日投下策の決定過程その1
    原爆対日投下策の決定過程を詳細に検討する講義の1回目。
  • 原爆対日投下策の決定過程その2
    原爆対日投下策の決定過程を詳細に検討する講義の2回目。
  • アメリカの対ソ戦略と原爆
    第2次世界大戦末期のアメリカの対ソ戦略と原爆の関係性を詳述する。
  • 原爆投下目標都市の選定
    日本における原爆投下目標都市が絞り込まれていく過程を分析する。
  • 原爆が投下された日
    原爆投下の瞬間を、被爆者の手記から再現する。
  • ヒロシマ・ナガサキの以前と以後
    人類史を、ヒロシマ・ナガサキ以前と以後とに区分して、原爆投下の人類史的意味を検討する。
  • 映画「二重被爆」(2006年)を見る
    広島と長崎で、二度の被爆体験をした人たちの証言を集めた映画を鑑賞する。
  • まとめ―「核無き世界」への道―
    講義全体のまとめを行う。

キーワード

核開発、原爆外交、原爆神話、原爆被害、「黒い雨」、二重被爆、核拡散、プラハ演説、NPT再検討会議

参考文献

西島有厚『原爆はなぜ投下されたか』(青木書店、1968年)
荒井信一『原爆投下への道』(東京大学出版会、1985年)
吉田守男『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』(朝日文庫、2002年)
こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社、2004年)
山口彊『ヒロシマ・ナガサキ二重被爆』(朝日文庫、2009年)

リンク

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