開設大学とシラバス

恵泉女学園大学 ヒロシマ・ナガサキ学

1 年度

2020年度

2 科目名

ヒロシマ・ナガサキ学

3 担当教員

安田 和也

4 開講学期

秋学期

5 配当年次

1,2,3年

授業題目

原水爆の開発・被害、核と人間そして核廃絶への展望

授業の概要・目的/到達目標/身に付く力

[授業の概要・目的]

核兵器をめぐる状況は深刻です。しかし約1万4千発の核兵器を減らし、なくしていこうとする多数の非核国と市民の努力も重ねられています。核問題や地球環境など日々の生活から遠く感じられますが、人類規模の重要な問題として、被爆の体験を持つ日本にいる私たちの課題として取り組みます。 核兵器はどのように作られ、最初の核使用ヒロシマ・ナガサキで20万人余の命を奪った破壊と被害をとおして、核が人間に何をもたらしたかを知り考察します。被爆の苦しみと核に立ち向かってきた被爆者と向き合い、さらに世界に広がった被害者について学びます。 一方で人々は核兵器のない世界をもとめ粘り強い取組を進めてきました。被爆者の献身、市民の運動、国際政治の動向などを学び、核なき世界への可能性を具体的に考えます。 授業では、原爆による破壊、核実験などの映像資料、被爆体験者の講話、フィールドワーク、リアクションペーパー紹介や質疑応答により問題意識の共有、理解促進をはかります。

[到達目標]

核・被爆問題という人類規模の課題を学ぶことを通して、平和と戦争、様々な社会問題に目を向け関心を持つ基礎力を培う。核廃絶への国際的努力と解決への糸口、それを妨げる構造について学び、現実への考察・思考力を培います。

[身に着く力]

知識力、思考力、共感する力、国際性・社会性

  • ヒロシマ・ナガサキの原爆被害、破壊、放射線被爆について理解し説明できる。
  • 被爆者の身体的、社会的困難に立ち向かう被爆者の理念について述べることができる。
  • 核なき世界の実現に関して自らの意見を述べることができる。
  • 核問題を起点にして国際社会が抱える諸問題に関心を向けることができる。

身に付く力

  • 知識と見識
  • 論理的・批判的思考
  • 表現・発信する力
  • 平和な社会を目指して共生、協働する態度

毎回の授業

(1)授業は講義形式で行うが、毎回短い映像(原爆被害や核開発など)を見る。体験者(原爆被爆者)の証言を直接聞き、質疑や意見交換をおこなう。水爆実験被ばく船・第五福竜丸の展示館にて学外授業を行ない、核被害への市民の激励や被害者家族の心情、社会的差別などにふれ追体験する。リアクションペーパーによる質疑や感想の共有化をはかる。


授業の概要は、

  • 授業概要・目的のガイダンスと原爆問題の基礎知識に関するアンケート実施。
  • 原爆の開発ー核分裂の発見、世界戦争への国際状況。原爆使用と破壊の模様。無差別大量破壊の極致として人間の殺傷。
  • 被爆体験者の講話(原爆被害の説明、被爆者の戦後の生き方、運動への理解と考察を進める)。
  • 被爆者の戦後ー苦難と救済の活動。
  • 原水爆に反対する市民のうごき。
  • 戦後の核開発。第五福竜丸展示館での授業。マーシャルおよび世界の核被害(戦後の核開発と被害と国際的影響を考察し、見解をもつ)。
  • 今日の核兵器、核廃絶への国際的なうごき(核兵器廃絶へのうごきと実現にむけての検討し意見をまとめる)。
  • 原水爆に関する表象(美術、文学、音楽作品にふれる)。
  • 平和な世界を構築するために一人ひとりができることを考える。

(2)次回授業のために事前にテキストの予習を奨励しページを提示する。
レポート課題は
*被害者の体験講話。
*学外授業から学び考察したこと。
*核兵器廃絶への考察と意見。など2回を課す(分量A42ページ程度)。
授業を深め平和問題を考えるための参考文献を折にふれて紹介する。

(3)平和のための博物館、美術館を紹介し、訪問することを奨励する。

成績評価方法

2回のレポートでの評価(授業を通しての知識を踏まえての考察や意見の的確な表現)
70%。参加・リアクションペーパーの感想・考察30%で総合的に判断する。

テキスト

毎授業時にテキストを補完するレジュメと資料を配布する。
テキストとして『ヒロシマ・ノート』と『フィールドワーク第五福竜丸展示館』を授業時に頒布する。

参考文献

『1945年8月6日』伊東壮著(岩波書店)
『ナガサキー1945年8月9日』長崎総合科学大学平和研究所編(岩波書店)
『はだしのゲン』中沢啓二(汐文社)
『ビキニ事件の表と裏』大石又七(かもがわ出版) 

履修する上での必要な要件

核や戦争の被害・犠牲を知り学ぶことはつらいことでもあるが、現在につながる歴史であり、いま生きているこの世界に関心を抱き、興味と好奇心の幅を広げて積極的に授業に参加してほしい。

リンク

恵泉女学園大学
http://www.keisen.ac.jp/

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