開設大学とシラバス

広島文教女子大学 日本とヒロシマの歴史

1 年度

2018年度

2 科目名

日本とヒロシマの歴史

3 代表教員名

沼田 有史

4 開始学期

前期

5 単位数

2

6 履修可能対象年

カリキュラムにより異なります。

7 履修条件

なし

授業のねらいと概要

私たちは過去(歴史)を土台として現在に生き、未来を創造しています。歴史は昔の人々が様々な状況のなかで、少しずつ創意工夫をこらしながら、今の世界を築きあげてきたことを教えてくれます。私たちはそこから「いま・ここ」に生きていることの素晴らしさや難しさを知るとともに、自らが生きていくうえでの糧をみいだすのです。
この授業では、身近な可部の町の歴史からはじまり、広島の古代から被爆、その後の国際平和文化都市建設にいたるまで、特に近現代史を基軸として日本の歴史を絡めながら紐解いていきます。
授業では自らの人生を省みる契機となるよう、また新たな人生に踏み出そうとする意欲をかきたてるものとなるよう、できるだけ映像等を使用して、わかりやすく楽しく学べるように工夫します。 

双方向性確立の方法

授業において質問やディスカッションの時間を設けるとともに、メッセージカードにより理解度を確認、質問等を受けます。
能動的な学修態度と実践力を養うため、ICT機器を活用することがある。また、実践力及びコミュニケーション力を養うための「アクティブ・ラーニング」の手法を用いることがある。 

授業計画

  • テーマ ガイダンス
    キーワード 太田川、広島城、被爆、国際平和文化都市
    内容 今、私たちが生活している広島の歴史を一緒に俯瞰してみよう。またこの授業の構成と進め方、注意事項等を説明する。
    事前学修 広島で過去にあったこと、昔の広島の生活を調べる。(2時間)
    事後学修 広島の歴史の流れを整理し、全体像を把握する。(2時間)
  • テーマ 可部の町の歴史
    キーワード 山繭織り、舟運、松本清張
    内容 私たちの学んでいる土地にも歴史があり、人々が生活してきたことを意識しよう。可部の町が発達するきっかけとなった山繭織りや舟運、街道について解説する。特に作家松本清張を絡めて可部の町を考える。 
    事前学修 山繭織りの糸は何からできているか。可部の町に残る旧家と山繭織りの関係を調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料を読んで自分の視線で可部の歴史をまとめ、地図と照合する。(2時間)
  • テーマ 広島築城まで
    キーワード 比治山貝塚、中小田古墳群、山陽道
    内容 広島では広島城が築城される以前にも人々の生活があった。その痕跡をとらえて現在の生活と共通する点があることに気づく。比治山貝塚や中小田古墳群などの遺跡から古代の人々の生活を感じる。
    事前学修 広島にある古代の遺跡を調べ、そこから見える特性を考える。(2時間) 
    事後学修 当時の旅人がどのようなルートを通っていたか調べ、地図で確認する。(2時間)
  • テーマ 広島築城とその後
    キーワード 毛利輝元、福島正則、浅野長晟、西国街道
    内容、何故太田川河口の中洲に城を建てたのか。戦国時代の流れから広島を読み解く。毛利、福島、浅野と城主が変遷する過程を理解し、現在の私たちの生活に当てはめてみる。
    事前学修 広島築城当時の広島の様子について事前知識を学習する。(2時間)
    事後学修 今の広島の街に残っている広島城の痕跡をまとめる。(2時間)
  • テーマ 近世以降の生活(1)-牡蠣・海苔養殖 
    キーワード 干拓、牡蠣養殖、海苔養殖
    内容 広島市街地がどのように形成されてきたか、海と広島の結びつきをみる。またそこでおこなわれた牡蠣や海苔養殖の変遷を知るとともに、現在の生産状況を把握する。 
    事前学修 広島の牡蠣や海苔養殖について、現在の状況を調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料をもとに自然(地形)と人間の生活の関係性についてまとめる。(2時間)
  • テーマ 近世以降の生活(2)-広島から世界へ
    キーワード 対馬、向洋、宮本常一、ハワイ移民
    内容 対馬に渡った広島人を知ることにより当時の生活を顧みると同時に、その後のハワイ移民や現在の広島の国際化に繋がっていることを確認する。 
    事前学修 近世、近代、広島に暮らしていた人々の生業を調べる。(2時間)
    事後学修 移民の生活実態について調べることにより、当時の広島の生活実態に迫る。(2時間)
  • テーマ 明治維新、近代都市への歩み
    キーワード 第5師団、千田貞暁、山陽鉄道
    内容 港と鉄道が整備されていく近代都市としての広島の形成過程を追い、日清戦争で兵站基地となった理由を探る。  
    事前学修 広島市南区宇品の干拓について現在の地図で位置を確認する。(2時間) 
    事後学修 配布資料から当時の宇品港の様子がわかる個所を地図上で確認し、より詳しく調べる。(2時間) 
  • テーマ 日清戦争
    キーワード 広島大本営、臨時帝国議会、日清戦争凱旋碑
    内容 広島は日清戦争において兵站基地としての機能を有し、臨時帝国議会が開かれるなど繁栄を極めたことを知る。
    事前学修 広島における臨時帝国議会がどこでおこなわれたか。現在、その場所には説明版が設置されているので調べて確認する。(2時間)
    事後学修 宇品平和塔(日清戦争凱旋碑)について、建立から現在までの過程をまとめる。(2時間)
  • テーマ 兵站基地としての広島
    キーワード 陸軍糧秣支廠、陸軍兵器支廠、陸軍被服支廠
    内容 広島には後方支援基地として多くの軍事施設が造られ、全国から兵隊や物資が広島に集まり、宇品港から戦地に向かった実態を理解する。
    事前学修 広島城内にあった第5師団司令部について、今までの授業も含めて調べる。(2時間)
    事後学修 配布資料により今も残る軍事施設跡を確認し、当時の広島の様子を把握する。(2時間)
  • テーマ 太平洋戦争と原子爆弾投下
    キーワード マンハッタン計画、ポツダム宣言
    内容 日本は太平洋戦争に突入、アメリカはマンハッタン計画により原子爆弾を製造し、広島へ投下する。映像を見て、こうした時代の流れを学ぶ。
    事前学修 太平洋戦争が始まったころの広島の様子を調べる。(2時間)
    事後学修 個人(科学者)からみた戦争と国家(軍)としての戦争を考え、映像により新しく知ったことをまとめる。(2時間)
  • テーマ 広島の被爆被害
    キーワード 佐々木禎子さんの折鶴、折免滋さんの弁当箱
    内容 広島への原爆投下の経緯と被害の実情を理解し、被爆者とその家族などの苦悩に接する。
    一例として旧広島県立第一高等女学校の生徒たちの被爆状況を映像で見る。 
    事前学修 原爆の被害状況について多角的に調べ、できるだけ多くの事例をまとめる。(2時間) 
    事後学修 授業以外の資料を探して被爆者の体験記を読み、当時の広島の惨状を実感する。(2時間) 
  • テーマ 戦後復興
    キーワード 広島平和記念都市建設法、平和記念公園、イサム・ノグチ
    内容 戦後の復興時のさまざまな人々の苦難と努力を知る。また平和記念公園建設にともなうイサム・ノグチの立場から当時の世相を顧みる。
    事前学修 平和公園にどのような碑があるか調べる。(2時間)
    事後学修 平和公園、平和大橋、西平和大橋とイサム・ノグチの関係についてまとめる。(2時間) 
  • テーマ 今も残る被爆の痕跡
    キーワード 広島県産業奨励館、中国軍管区司令部防空作戦室、燃料会館
    内容 現在も残っている被爆の痕跡から多角的に原爆被害の実相を知る。
    事前学修 広島県産業奨励館の設計者について詳しく調べる。(2時間)
    事後学修 授業以外の被爆の痕跡をまとめるとともに、実際に現地を確認する。(2時間)
  • テーマ 平和への歩み
    キーワード 平和記念式典、平和首長会議、核兵器禁止条約
    内容 平和記念式典の歩みを紐解くことにより、現在行われている様々な平和への取り組みを理解する。
    事前学修 平和への取り組みとしてどのような活動があるか調べる。(2時間)
    事後学修 近年の新聞記事等から、今現在推進されている平和関連活動をまとめる。(2時間)
  • テーマ 持続する歴史
    キーワード 表象の不可能性、記憶の風化
    内容 これまでの授業で触れることのできなかった広島の現代史について重要事項を概説する。
    最後にすべての授業を振り返り、歴史には一方向から見てしまう危険性や、一時点で切り取ることのできない持続性(時間)の問題があることを再確認する。 
    事前学修 自分なりにヒロシマ(広島)の歴史を整理する。(2時間) 
    事後学修 ヒロシマ(広島)の歴史から自分が教えられたこと、感じたこと、考えたことをまとめる。(2時間) 

期末試験 他の方法による

到達目標

① ヒロシマ(広島)の歴史における重要事項を把握する。
② 古代から現在まで、どのような歴史の流れの上に今の広島があるか理解する。
③ 近代都市としての広島の歴史において、太平洋戦争以前とその後では相反する面があることを具体的に説明できる。

成績評価方法

授業への参加度(30%)、メッセージカードによる課題(30%)、期末レポート(40%) 

成績評価基準

到達目標①~③のすべてにおいて、一定水準以上であると確認できる場合:S
到達目標①~③のいづれか二つにおいて、一定水準に達していると確認できる場合:A
到達目標①~③のいづれか一つにおいて、一定水準に達していると確認できる場合:B
到達目標①~③について、望ましい水準ではないが評価はできると確認できる場合:C
授業への参加の度合いが十分でなく、到達目標に達していないと確認できる場合:D

テキスト

配布資料による。また必要に応じてパワーポイント、映像を使用する。

その他教材

〖参考図書〗
角重始「中世地域経済の発展と広島湾頭」、三好康之「中国山地が育む広島の特産品」広島文教大学人間科学研究所『陰陽路の歴史と風景』渓水社 2001
岸田裕之編『広島県の歴史』山川出版社 1999  

その他

本科目は、本学の「卒業認定・学位授与の方針」の(5)「豊かな人間性」の修得・育成に寄与している。

リンク

広島文教女子大学
http://www.h-bunkyo.ac.jp/university/

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